そして、園内の建物の中には、動きがあまりない動画が流れています。これも太田さんの作品です。
あるお宅の庭を1年間撮影したものだそうです。あるときに、柿とみかんの木が隣り合わせに立っていて、仲のいい友だちのように感じたそう。本来なら同じ場所に育つのはあまりない組み合わせが、人が介在することによって生まれた光景だといいます。
例えば秋に柿がたくさんの実をつけていたかと思えば、次には1つになっているのを見て、「今年もたくさんありがとう、来年もよろしく」という思いと、冬へ向けての「動物たちへの贈り物」でもあると話す太田さん。そこには優しさがあることも教えてもらいました。気がつかないだけでその庭の中にはいろいろなドラマがあり、それをアートに閉じ込めたという作品でした。
一方、衆楽園の迎賓館には、大きな暖簾(のれん)も展示されています。これは、リクリット・ティラヴァニさんと、真庭市の染色家・加納容子さんとのコラボ作品。時代劇で見るような大きな部屋に大きな暖簾が不思議な空間を創り出していました。
次に向かったのは、津山城の入口にある「つやま自然のふしぎ館」。ここは、1963年に開館したレトロ感もある博物館で、世界各地の動物のはく製が多数展示されています。実際の動物のはく製の大きさと、その数に圧倒されます。
そして、ここにも「森の芸術祭 晴れの国・岡山」の作品が展示されています。ソフィア・クレスポさんの作品で、AIが生成した絶滅危惧種に関する映像作品です。
とてもふしぎな作品で、この曖昧さが近未来を予測しているということでしょうか。同館の館長は、「この森の芸術祭の作品は映像で動いていますが、ここの常設展示は動きません。すごく対照的です」と話していました。
「森の芸術祭 晴れの国・岡山」の作品が展示されている場所にも、意味があるように感じました。
津山市にはまだまだ「森の芸術祭 晴れの国・岡山」の作品があります。
【3】へ続く