イギリスの公共放送BBCは12月3日、世界に影響を与えた女性をたたえる、2024年の「BBC 100 Women(100人の女性)」を発表した。
日本からは、旧優生保護法による強制不妊手術の損害賠償訴訟原告の1人、神戸市の鈴木由美さんと、コメディアンの渡辺直美さんが選ばれた。
先天性の脳性まひで手足が不自由な鈴木さんは、12歳だった1968(昭和43)年、理由も知らされずに家族に病院に連れて行かれ、子宮摘出手術を受けさせられた。
日本では1950年代から1990年代にかけて、旧優生保護法のもと、鈴木さんをはじめ障がいのある多くの人が、不妊手術を強制された。
2023年、国会がまとめた調査報告書によると、強制不妊手術が最も多かったのは1955(昭和30)年で、旧優生保護法下では2万4993人が手術を受けたとされ、全体の約75%が女性だった。20歳未満の不妊手術件数は1955年(年齢階級別の統計開始)以降、全国で少なくとも2717件あった。
同法は1996年になってようやく改正され、「母体保護法」と名称も変わった。障がい者への強制不妊手術など、優生思想を背景とした条文は削除された。
鈴木さんは訴訟に際し、ラジオ関西の取材に「障がい者に対しての世間の目は冷ややかだった。私たちは、同じ人間ではないか。ひとりの人間として幸せになりたい。普通に暮らしていきたいだけ。国は私たちに『ごめんなさい』ただそれだけでいいのに」と話していた。
日本では鈴木さんのほか38人が各地でこの旧優生保護法をめぐり訴訟を起こし、今年(2024年)7月に最高裁判所は同法を違憲とする判断を示し、国に損害賠償を命じている。