1912年、北大西洋で発生した「タイタニック号沈没事故」ゆかりのテディベア「オセロ」をはじめとする、世界の多様なテディベアと船舶模型を集めた特別展「海を渡るテディベア展~タイタニック ベア オセロの物語~」が神戸海洋博物館で開かれている。オセロは2023年、テディベアとして史上最高額で落札されたもので、西日本で公開されるのは今回が初めて。
タイタニック号沈没事故では1513人が犠牲となった。ドイツの高級ぬいぐるみメーカー「シュタイフ」はその悲劇を悼み、人々の心を癒すため、黒色モヘアの「テディベア1912」通称「タイタニックベア」82体を制作、販売した。ボディーが黒色なのは、服喪を表しているという。当時、年間約100万体のテディベアを製造していたシュタイフがなぜ黒色テディベアを82体だけしか作らなかったのか、はっきりした理由は分かっていない。
そのうちの1体が1990年、英国のオークション「サザビーズ」で競売にかけられた。米国の女性コレクターが当時の最高額で落札。テディベアに「オセロ」と名付け、約30年間大切に愛玩したが、2020年、女性コレクターが他界。オセロは2023年、再び競売にかけられ、テディベア史上世界最高額の18万ユーロ(手数料含まず)で落札された。現在展示中のオセロは、今年10月に羽田空港の複合施設で行われた日本初公開を経て、神戸にやってきた。
オセロは黒色モヘアの全身と赤い目が特徴で、体長は40センチほどに見える。会場の中央に設けられた「オセロの物語」コーナーで、タイタニック号の模型とともに公開されている。同コーナーではオセロにインスパイアされて作られたアート作品やさまざまなブラックベアのぬいぐるみも紹介。
展示会場は、7つの海を航行する船長をイメージした「キャプテン キース テディベア」が案内し、世界一周クルーズするというコンセプトで構成。各国の文化や特色を伝える限定ベア150体以上が並ぶほか、テディベアの歴史を紹介するコーナー、シュタイフのぬいぐるみを手に取って遊べるプレイエリアも設けた。また、「世界を渡った船」として、「クイーン・エリザベス2」「ダイアモンド・プリンセス」「にっぽん丸」など大型客船の模型も展示している。