10代で「酒OK」のデンマーク 高校のカフェでビール販売 卒業時は“飲酒トラック”運行が当たり前 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

10代で「酒OK」のデンマーク 高校のカフェでビール販売 卒業時は“飲酒トラック”運行が当たり前

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 2022年、法改正によって成人年齢が18歳に引き下げられたのが記憶に新しい日本。しかしながら、飲酒に関しては引き続き「20歳まで禁止」という基準が定められています。このように日本は未成年の飲酒に厳しい国ですが、世界を見回すとその基準は実にさまざまです。なかでもデンマークでは規制がゆるく、10代前半から酒をたしなむ人も珍しくないそう。はたして本当なのでしょうか? デンマークのリアルな文化や生活を発信するサイト「Living in Denmark」を運営する樋口さんに取材しました。

飲酒に対する考え方が日本と真逆の国・デンマーク

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「デンマークでは飲酒に規制がなく、一般的な感覚ではティーンエイジ(13歳〜)くらいになれば飲んでも良いという感じですね。もちろん、人によって判断基準に差はあります。ちなみに、度数16.5%未満のアルコールは16歳から購入OK。それ以上は18歳からでないと購入できません」(樋口さん)

 樋口さんの周りでは「13歳だったらいいんじゃないか」という考えの人もいれば、「13歳だと若すぎる。15〜6歳が適切ではないか」と主張する人も。いずれにせよ、日本の基準と照らし合わせるとデンマーク人はかなり早い段階で酒に触れることがうかがえます。子どもに飲酒を許す年齢は家庭により異なるものの、はじめは家族と少しずつ飲んだりクリスマスやイースターといった親族との食事会で.....というパターンが多いそう。「飲酒が及ぼす影響はもちろん、自分がどれだけ飲めるかを分からないままいきなり外で飲酒すれば取り返しのつかないことになる可能性も。それよりも家族の見守りがある安全な環境で飲酒させたいという考え方が根強いように思います」と樋口さん。

デンマークでは未成年者の飲酒に対し寛容だとか(提供=Living in Denmark)

 日本における未成年飲酒は違法行為ゆえ、アニメやドラマでは「不良の象徴」というような描写がされがち。ですが、大人しい学生や真面目な学生であっても条件さえ満たせば酒を楽しむというのがデンマーク流。高校の卒業時には「卒業トラック・パーティ」が催され、卒業生たちは荷台で酒を飲みパーティを堪能します。基本的に卒業生は全員参加で、学生は心待ちにしているイベントなのだとか。「ガンガンお酒が入ることもあり、かなり破天荒なイベントです。デンマークの卒業生はセーラー帽を被る慣習があるのですが、トラックパーティーで何かをやらかしたり武勇伝的なことを達成すると、帽子に切れ込みを入れるという風習があります」とのこと。

 イベントでは飲酒量を競い合ったり奔放な行為を自慢したり.....。「ホントに高校生?」と、日本人ならツッコミを入れたくなるほど、開放的な内容が繰り広げられることも。デンマークの飲酒に関する規制のゆるさについて、樋口さんは「理由は定かではありませんが、飲酒そのものが家族・親族・親しい友人との集まりや慣習に密接しているからだと思います。日本には20歳以上の人間が仲を深めるための手段のひとつとして『飲みニケーション』というものがありますが、デンマークではそれが全国民の中で社会的通念として浸透しているのかもしれません」と見解を述べます。

デンマークの高校生が楽しみにする「卒業トラックパーティ」(提供=Living in Denmark)

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 高校によってはカフェテリアで生ビールを販売しており、授業が終わった後に一杯ひっかけることができてしまうデンマーク。しかしながら、最近では「若者の飲酒は良くないのではないか」という意見も出始め、さすがに校内ではアルコール禁止というルールが広まりつつあるそうです。

(取材・文=つちだ四郎)

◆Living in Denmark
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