「古典の日」と定められている11月1日、神戸の老舗文具会社が“ご当地インク”の1つとして、明石の情景を表現した万年筆インクの販売を開始しました。誕生のきっかけや、色を作るうえでのこだわりなどについて、担当者に話を聞きました。
明石の情景を表現した万年筆インク『Kobe INK物語 特別色 【ゆほびか-YUHOBIKA BLUE-】』を発売したのは、株式会社ナガサワ文具センター(神戸市中央区)です。
明治15年(1882年)、神戸の街で「日用雑貨商長澤紙店」として誕生した後、140年以上の間、地元住民たちに「素敵な文具と出会うきっかけの場」を提供し続けている、同社。
“ご当地インク”『Kobe INK物語』が生まれた契機は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災。当時、ナガサワ文具センターの店舗も甚大な被害を受けましたが、ユーザーや仲間たちの応援によって再び立ち上がることができたといいます。
「震災から10年が経ったある日。インク企画者の竹内が、復興に向けて応援してくださった方々に御礼の手紙を書きたいと思いたちました。ですが、当時は万年筆のインクの種類が黒・青・赤しかなかったんです。“神戸らしい色を使いたい”と考えたことがきっかけです」と話すのは、株式会社ナガサワ文具センター商品企画担当の木ノ本裕子さん。
2007年に生まれた『Kobe INK物語』で最初に誕生したのは、神戸の“山並み”を表現した【六甲グリーン】でした。
販売を開始してしばらくすると、地元の色を求める声が届き、現在は定番色だけで80種類以上に規模を拡大。12月23日には、神戸市兵庫区の区花であるパンジー(三色すみれ)の花びらで印象的な鮮やかで深みのある紫色を表現した『Kobe INK物語第87集【兵庫パンジー】』も発売されたばかりです。
さて、今回、特別色【ゆほびか-YUHOBIKA BLUE-】が生まれたきっかけは、明石市出身の企画者の思いでした。魅力的な“海”と“歴史”を描きたいと考え、「具体的に何を表現するのか?」や、情景に合う色を探し、少しずつ構成したそうです。