「戦後最大の人権侵害」とされた旧優生保護法(1948~96年)に基づく強制不妊手術をめぐり、斎藤元彦・兵庫県知事は8日の定例会見で、「改めておわび申し上げたい」と述べ、謝罪した。
兵庫県は「不幸な子どもの生まれない運動(1966〜74年)」を展開し、優生政策を推進していた。
斎藤知事はこの施策について「国の機関委任事務だったが、不適切だった。過去の歴史は真摯に反省しなければならない」と述べ、初めて公式に謝罪した。
この問題をめぐっては、2018年1月以降、全国各地で提訴が相次ぎ、被害者ら39人が全国12地裁と支部に提訴。
最高裁は昨年(2024年)7月、旧優生保護法を違憲と認定した。
国と原告側は同年9月、全国で係争中の訴訟の和解合意書に調印した。初提訴から7年経ち、一連の訴訟は終結した。
これを受け、国の責任と謝罪を明記した補償法が同年10月に成立、今年(2025年)1月17日に施行される。
新・補償法は、強制不妊手術や人工妊娠中絶手術を受けた本人と配偶者、死亡している場合は遺族も補償の対象となる。
県によると、旧優生保護法に基づき、県内で行われた強制不妊手術が少なくとも470件あり、このうち330件は本人の同意なく行われたとの記録が残っていたという。
また、補償法施行を前にした昨年11〜12月、県が市町や福祉施設、関係団体を調査したところ、同法に基づく人工妊娠中絶手術の記録が少なくとも1410件(氏名、居住地は不明)あったことがわかった。
そして、新たに補償対象となる可能性がある11人の氏名が判明した。