阪神・淡路大震災30年 兵庫県立美術館に震災を忘れないためのモニュメントがお目見え | ラジトピ ラジオ関西トピックス

阪神・淡路大震災30年 兵庫県立美術館に震災を忘れないためのモニュメントがお目見え

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 阪神・淡路大震災から30年を迎えるのに合わせ、震災を忘れず、後世に伝えていくためのモニュメントとして、新たな彫刻作品が、兵庫県立美術館(神戸市中央区)の野外スペースに設置された。

青木野枝『Offering / Hyogo』2025年 
青木野枝『Offering / Hyogo』2025年 

 安藤忠雄制作のオブジェ「青りんご」から少し東にある階段の上に作品の一部を見ることができる。階段を上った「風のデッキ」には、鉄でつくられた直径2.8メートルの球が、12メートルにわたって3つ連なり、静かにたたずんでいる。国内外で活躍する彫刻の第一人者で、鉄を素材にした作品で知られる青木野枝がこの空間のために制作した。タイトルは「Offering / Hyogo」。日本語で使われる「オファー」の意味とは別に、「捧げもの」という意味がある。

 県立美術館が山と海の間に建つことから、「山と海とその間にこの作品。世界は2極化していると言われるが、その間には何かある。この彫刻の中にも空気があって世界がある。3つの球はそれが連動してつながるイメージ。3つあることで動いている感じを表現した」と青木はいう。そして「安藤忠雄設計の県立美術館は人工的でカッコイイ建築。だからこそ自然を感じられる場所にした」と話す。

青木野枝『Offering / Hyogo』2025年 
青木野枝『Offering / Hyogo』2025年 

 作品素材の鉄は黄色っぽい色をしているが、サビなどの影響で、時とともに徐々に赤くなっていき「1年経てばかなり変わるのではないか」という。また、県立美術館が建つ地には、かつて神戸製鋼所があり、関係者は「鉄の作品が常設恒久展示として加わるのも何か縁を感じる」と話す。

 作品の贈呈式で、青木は「震災メモリアルの作品ということで、どのように作ればいいか悩んだ。震災の犠牲者の方々、また全ての生きるものたちに対して捧げる=オファーするという気持ちで、精一杯のものを作った。何かを分け与えられる彫刻でありたい」と話した。また贈呈式には近隣の神戸市立渚中学校2年生約100人も出席し、同館の林洋子館長は、「神戸の生きている人、亡くなった人に捧げられた作品。この地域の大事な宝物として見守ってほしい」と呼び掛けた。

渚中学校の生徒に説明をする青木野枝さん
渚中学校の生徒に説明をする青木野枝さん

 館内では「コレクション展Ⅲ 阪神・淡路大震災30年 『あれから30年-県美コレクションの半世紀』」が開催されており、制作過程の映像や作品のドローイングなどが展示されている。

「Offering / Hyogo」と青木野枝さん
「Offering / Hyogo」と青木野枝さん

兵庫県立美術館
「コレクション展Ⅲ 阪神・淡路大震災30年『あれから30年-県美コレクションの半世紀』」
会期 2025年1月7日(火)~4月6日(日)
休館日 月曜日、1月14日(火)、2月25日(火)
→1月13日(月・祝)、2月24日(月・振休)は開館

※風のデッキは入場無料


兵庫県立美術館 HP

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