今が旬の「白ネギ」。かつて青ネギが主流だった関西では長ネギのことをこう呼びます。甘みが増し、風味豊かな味わいを楽しめるだけでなく、免疫力アップや血行促進にも役立つといわれている白ネギ。兵庫県には、群馬県の下仁田ネギ、福岡県の博多万能ねぎと並んで‟日本三大ねぎ”と称される「岩津ねぎ」(朝来市特産)が存在します。
まさにこれからの季節にぴったりで、地元の飲食店ではフェアも開催されているほどの人気食材ですが……皆さんはそんな白ネギの“青い部分”をどうしていますか? もしかすると、分厚くて硬いからと捨てている人もいるかもしれません。しかし、“青い部分”は食べられます! その魅力やおいしく食べられる料理について、兵庫県北部農業技術センターの木下歩さんに詳しく聞きました。
ーー通常のネギ(青ネギ)に比べて白い部分の割合が多い白ネギ。なぜ白い部分と青い部分があるのでしょうか。
【木下さん】 実は、白ネギの白い部分は、「土寄せ」という作業によって人為的に作られているんです。土寄せでは、ネギの株元に土を寄せかぶせることで、光を遮り白い部分が伸びていきます。土の上に出た部分は、葉緑体が発達して青くなります。
ーー日が当たって固さも増している“青い部分”ですが、ずばり! “白ネギの青い部分”は食べられるのでしょうか。
【木下さん】 はい、食べられます。白い部分と青い部分は、どちらもネギの「葉」にあたり、栄養が豊富に含まれています。特に青い部分には、白い部分よりもビタミンCが多く含まれている点が特徴です。皮ふや粘膜の健康維持に役立つほか、抗酸化作用が期待できます。
ーー青い部分がネバネバしていることがあります。食べても大丈夫でしょうか。
【木下さん】 内側から出てくるネバネバは水溶性のペクチンです。これは食物繊維の一種ですので召し上がっていただいて大丈夫です。
ーー青い部分を、よりおいしく食べられる料理を紹介していただけますか。
【木下さん】 常備菜としての「ネギ味噌」や、厚揚げや生麩(ふ)と一緒に煮る「たいたん」(関西弁で「炊いたもの」の意)などがおすすめです。また、あまり知られていない方法としては「天ぷら」もとてもおいしいですよ。青い部分も白い部分も、どちらもおいしくいただけます。
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白ネギの「青い部分」には、栄養が豊富に含まれており、皮ふや粘膜の健康維持を助けるはたらきがあるとわかりました。また、ネバネバは食物繊維の一種で、食べても問題ないことが明らかになりました。これまで捨ててしまっていた......という人も、「たいたん」や「天ぷら」など青い部分を活用した料理に挑戦してみてください。
(取材・文=坂本有伽)
【白ネギの“青い部分”を活用したレシピ】厚揚げや生麩と煮る「たいたん」など※兵庫県公式ホームページに遷移します。