兵庫県立大学附属中学校(兵庫県赤穂郡上郡町光都)の生徒が、カメムシの特性を活かした「芳香剤」を完成させたことが話題となっています。「なぜカメムシなのか?」「開発にあたっての苦労」などを、同校で理科教師を務める清水和憲先生に話を聞きました。
☆☆☆☆
同校の生徒は、2年生になると全体で10班に分かれ「プロジェクト学習」に取り組みます。多岐にわたる分野から自分たちの「気になる」を見つけ、専門講師のサポートを受けながら卒業まで研究に勤しみます。数ある班の中でも注目を集めているのは、通称「カメムシ班」。定倫太郎さん・髙野永翔さん・高木隆成さん・早原大翔さん・重見啓伍さん・山岡依織さんのメンバーで2年間活動しました。

昆虫の中からカメムシに注目した理由について、清水先生は「学校内で毎年数多く目撃されており、もともと私たちにとって身近な存在だったということからピックアップすることが決定しました」と話します。
カメムシでイメージされるものといえば、“独特な臭い”。生徒たちは「嫌われ者の虫を『良いこと』に利用できないか」と考え、導き出した答えが芳香剤でした。
赤穂市に研究所を持つ「アース製薬株式会社」や「兵庫県立人と自然の博物館」のサポートを受けながら、芳香剤の完成に向けて歩み始めた生徒たち。研究を進めるうちに「嫌な臭いがしない種類がいる」ということを発見。具体的にどの種類が当てはまるのかを知るために、学校周辺を散策し、カメムシを集めました。

調査のすえ、青リンゴのような爽やかな匂いを放つ「マツヘリカメムシ」と、クッキーのような香ばしい匂いがする「エビイロカメムシ」の2種類を芳香剤の材料として使用することに。木に「こも(=荒く織られているむしろ)」を巻いたり、網を持って探し回ることで捕獲を試みました。


捕まえた後、長生きさせることが想像以上に難しかったそう。「秋に集めたカメムシたちを生存させたくて、冬眠状態になることを想定し冷蔵庫へ保管していましたが……上手くいきませんでした」と、清水先生は苦い思いを語りました。また、芳香剤の作成に必要な種類のみを大量に集めることにも苦労したそうです。