阪神・淡路大震災の発生から今年で30年。スマホ利用が当たり前になるなど、電気が欠かせない現代では、地震など災害が発生した際のインフラ整備の重要性が増している。神戸市東灘区で電気工事業・電気通信工事業を営む会社のトップを務める松澤博之さんも、震災の復旧活動を通してインフラ整備の重要性を再認識した1人だ。

震災発生当時、同業他社に在籍し、兵庫県外にいた松澤さん。発生から3日後、復旧活動を行うために神戸に向かった。大阪から尼崎、西宮と徐々に神戸に近づいていくと路面の倒壊具合がひどくなり、言葉を失った。
2週間ほど復旧活動を行う中で、インフラに携わる自分自身の仕事の意義や責任を感じるようになったそうで、「阪神・淡路大震災の復旧活動を行えたことは、自分の1つの財産になった」。最近でも、2018年に台風が関西で猛威を振るった際に復旧活動を行うなど、いざというときには自身のスキルをいかすべく行動に移している。
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そんな松澤さんがいま、代表取締役を務める会社、有限会社ニシムラサービスは、1975年に創業された当初、家庭用のエアコン設置にまつわる仕事からスタートし、徐々に業務用のエアコンに特化。さらに、通信関係の会社との縁ができた関係でマンション全体でインターネットを使えるようにするといった電気通信工事業も担うようになった。
同社で松澤さんが代表取締役になったのは2019年9月。その後に新型コロナウイルスが流行し、リモートワークを行う人が急激に増加したが、通信の品質を安定させるためのインフラ整備などで、工事の需要も増えたという。
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そして、同社は電気工事業にとどまらず、新たな展開も。その1つが飲食事業で、敷地内の駐車場に2023年からたこ焼き店を営業している。
出店のきっかけは協力会社の人などが夕方に現場から帰ってきて、「ここでたこ焼きを売っていたら買うのに……」と冗談めかして話していたのを聞いたこと。
松澤さんの頭の片隅にこの言葉が残っているときに、ちょうど神戸市が新規事業の運営に対して補助金を出すという募集を発見。「一度、計画書を書いてみようと思い立ち応募した」ところ、これが採用され、新事業につながった。
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同社の経営理念「変化を容認し枠にとらわれない」を体現するような、新たなチャレンジの意味も込めて出店を実行。今では、現場作業を終えて帰ってきた人だけでなく、地域住民からも愛される店になりつつある。
今年で創立50年。震災やコロナ禍にも負けず奮闘してきた電気工事業だけでなく、新たな形でも地域に貢献する同社で、松澤さんは「さらに飛躍していく年にしたい」と意気込んでいた。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より
