身動きが取れずどうにもならないことを意味する、「にっちもさっちもいかない」という表現。一般的に使われるが、じつは、ある業界用語から誕生したといわれている。
関西を中心に活躍するフリーアナウンサー・清水健と、落語家・桂米舞(かつら・まいまい)がパーソナリティーを務めるラジオ番組で、「にっちもさっちも」をはじめとした、業界用語から誕生した言葉について解説した。

「にっちもさっちも」という言葉は、そろばん用語から誕生したといわれている。漢字では「二進三進」と書き、二進はそろばんで2÷2、三進は3÷3となり、“割り切れる計算”を意味する。
「にっちもさっちもいかない」はもともと、そろばんで「どう計算しても勘定が合わない」という意味として使われていた。そこから一般に浸透し、「身動きが取れないこと」を意味するようになった。
この言葉をよく使うというパーソナリティーの2人は、それぞれの“にっちもさっちもいかないときの解消方法”を紹介。
清水は「車で声を出す」、米舞は「カラオケに行く」と話し、それぞれの性格が垣間見える回答となった。
「にっちもさっちも」と同様に、業界用語から誕生した言葉はほかにも多く存在する。たとえば、調子に乗りすぎている様子を表す「羽目をはずす」は、建築業界から誕生した言葉である。
「羽目」は、建築用語で「板張り」を表す。つまり、羽目をはずすという状況は、きれいに貼った板張りをはずしてしまう様を意味し、そこから、昨今の「調子に乗ってしまう」という意味合いへと発展していったとされている。
語源を知った清水は、「意外と重い言葉だったんですね」と新たな知見を得た様子。「ほかにも、業界用語から誕生した身近な言葉があるのかもしれないですね」というコメントで締めくくった。
※ラジオ関西「木曜Clip」より
