皆さんは「そばめし」という食べ物を知っていますか? ざっくり言うと、細かく刻んだ焼きそばとご飯を炒め合わせた“ソース味のやきめし”。兵庫県は神戸の「ソウルフード」のひとつと言われ、同市の長田区が発祥の地とされています。

長田区でそばめしが生まれた理由について、株式会社ユリヤ(神戸市長田区)の代表取締役である中島吉隆さんは「“地域性”が深く関わっている」といいます。
「長田は“靴のまち”として古くから名を馳せており、製造工場も多かった。ケミカルシューズの工場に勤めている人たちが『いち早くランチを食べることができるように』と、戦後の長田にはお好み焼き屋が増加したんです。その流れの中で、客が持参した冷やご飯をそばと一緒に焼く……という文化が生まれ、そばめしが誕生したのです」(中島さん)
“長田生まれのそばめし”は、実は中島さんとも深い関係があります。というのも、中島さんの会社「ユリヤ」は1946年(昭和21年)に酒屋として創業した地元の老舗。現在は「ソース専門店」として約85品目以上を取り扱っています。

ソースの販売以外にもお好み焼き店や居酒屋などに味付けの提案も行っており、そういった背景から同社が開発したのが、そばめしに特化したソース。
「そばめしが生まれた長田という場所でソース専門に商いをしているということもあり、『神戸のソースに注目してもらいたい』『そばめし専用ソースがあったらおもしろいのでは』という思いがあった」と、中島さんは開発当時の気持ちを振り返ります。
こうして2019年4月19日、神戸の老舗ソースメーカー・オリバーソースとタッグを組み、初代「そばめしソース」が発売されました。ある程度の数は生産したものの、見事に完売。嬉しいことに、その後も「そばめし用のソースは無いの? 」とお客から声が上がり続けたのだとか。
