イタリア在住のワイン醸造家・大木和子さんが製造したワインが、昨年末に行われたイタリアの国際的なワインコンクールで金賞を受賞するなど、注目を浴びています。このたび一時帰国中の大木さんが、25日放送のラジオ関西の番組に生出演し、ワインづくりへの思いなどを語りました。

イタリア・トスカーナ州カッラーラでビオワイン(有機栽培や自然農法で育てられたブドウを原料としたワイン)の生産に取り組んでいる大木さん。そのきっかけは、彫刻家として活躍した亡き夫・大木達美さんの影響があったといいます。
「夫の生前に、大理石の一大生産地であるカッラーラへ連れて行ってもらい、彼の友人を紹介してもらったんです。夫が亡くなったあと、『彼の本を作りたい』と、カッラーラに戻りました。その翌年、夫の彫刻作品があり、1つの場所に(まとめて)置きたいという目的で、7000坪の荒れ地で廃墟だった場所を、競売で手に入れたんです。その土地を整備していたときに、今のブドウ畑が出てきたんです」
夫・達美さんの本家が福島で五代続く造り酒屋だったこともあり、そのブドウ畑を目にして「ここでワインを作りたい」思いに駆られ、実行に移したという大木さん。もちろん、ワインづくりは一朝一夕にできるものではないのですが、現地の彫刻家の友人や、イタリアにいるプロのワイン醸造家ら、大木さんいわく「恩人たち」のサポートを得ながら、自身も学びを続け、気づけば20年、ブドウづくりに勤しんできたといいます。


「どの街もそうですが、外者なので、初めに入っていくのは大変なこと。それでも、その街の風習を大切にして、尊重してやっていけば、受け入れてくれて仲間になったら、すごく助けてくれる」と大木さん。イタリアの地、周囲の人々をリスペクトしつつ、地道にやってきたことで、現地でも受け入れられていったそうです。

0.5ヘクタールという畑で「すごく小さなワイナリーなので、私は質を追求したい」と、有機農法・自然農法にこだわってきた大木さん。“ワインの神様から愛された国”といわれるイタリアの土壌や環境のなかで、子どもを育てるようにじっくりと育成してきたそう。
「特に有機農法なので、化学薬品とかはまけない。カビとかにかかってしまうと、すぐに見つければ対処できるが、見つかるのが遅ければ全部にカビが広がってしまう。なので、その時期はブドウ畑に張り付いているという言葉がぴったりなくらい、張り付いています」
そのなかで、「自分のワインの位置が、客観的に見てどんな位置にいるのか」を確かめるべく、イタリア・アオスタ州で行われている、英雄的なブドウ畑(地形や地質などの条件が厳しく、ブドウの栽培が困難な場所にあるブドウ畑)に特化したイタリア唯一の国際コンクール”Mondial des Vins Extrêmes”(「モンディアル・デ・ヴァン・エクストリーム」)に出品。そこで、大木さんが手掛けた赤ワイン「マルモルフォッシレ2021」と白ワイン「マルモルラクリマ2020」が金賞を受賞しました。