【橋本】 歌詞が詰まっていて拓郎さんらしい曲!
【中将】 これがデビュー曲なんですが、初めは拓郎さんが所属したフォークサークル「広島フォーク村」のコンピレーションアルバム『古い船をいま動かせるのは古い水夫じゃないだろう』に収録されたバージョンがフォークシーンで話題になりました。実に若者らしい、古い世代への怒りなんだよね。
【橋本】 そういう対立って、いつの時代も順繰りにあるんですね……。私は学生時代、陸上をしていたんですが、怒りや悔しさがあるからこそ頑張れること、パワーが生まれることって確かにあると思います。勝ちしか知らないと脆(もろ)いんですよ。今の怒らなくなった子たちが将来どうなっていくのか心配ですね。
【中将】 今の若者って上から決められたルールに従順すぎると思うんですよ。ルールなんか時代によってガンガン変えていけばいいのに、従ったまま変えようとしない人が増えすぎてる。僕が10代の頃って、親の言いつけや学校の校則にいちいち「なんで」と疑問を感じました。ルールとの闘いの日々だったけど(笑)、その中で成長もあったと思うんです。さて、そろそろお次の曲を紹介します。麻里圭子withハニー・ナイツ&ムーンドロップスで『かえせ!太陽を』(1971)。
【橋本】 これまでとはちょっと違うタイプの怒りソングですね!
【中将】 1971年の特撮映画『ゴジラ対ヘドラ』の主題歌なんです。当時は公害が社会問題になっていて、この映画もヘドロの怪獣が日本を襲うという内容。社会への怒り、急速に発展した現代文明への怒りといったメッセージをよく表現した曲に仕上がっていると思います。
【橋本】 なるほどです。
【中将】 お次は怒りソングの大御所みたいな方の曲です。浜田省吾さんで『反抗期』(1980)。
【橋本】 かっこいい……この曲歌いたい(笑)。
【中将】 いいでしょ(笑)。『路地裏の少年』(1976)でも『MONEY』(1984)でもなく、今回はあえてコレ。「息がつまる程 愛に満ちた家 泳ぎ出さなきゃ溺れそう」……直球で等身大な少年の怒りが伝わってきます。
反抗期がなくなってきてるという話に戻りますけど、10代、20代のうちに怒らなかったらいつ起こるんだって思うんですよ。50代、60代で怒り始めたらかなりうっとうしいですからね(笑)。
【橋本】 「若気の至り」で済む時期にバカなことやっといたほうが後々いいですよね。私なんて去年くらいまで反抗期ちゃうかったんかってくらい、ずっと反抗期ですよ。親子仲はいいんですけど、周囲には(笑)。
【中将】 (笑)。さて、次は、『反抗期』とまったく同じ日にリリースされた佐野元春さんの名曲です。『ガラスのジェネレーション』(1980)。






