【橋本】 こちらはおばあちゃんなんですね! 「エレクトリック」ってどういう意味なんですか?
【中将】 当時、グループサウンズとかのエレキギターサウンドが社会に衝撃を与えた時代だったんですよ。「エレキ」「エレクトリック」という言葉が「ナウい」みたいな感じで使われました。
【橋本】 今どきのおばあちゃんみたいな意味なんですね。
【中将】 はい、青森の弘前からそういうおばあちゃんがやってきて、家族を振り回すというコミックソングですね。堺正章さんの軽妙なボーカルが光っています。
【橋本】 中将さんの周りにはそんなおばあちゃんはいましたか?
【中将】 母方のおばあちゃんがまさにそういうタイプでしたね。コミュ力もすごくて、バスで隣り合った人と友達になって家まで遊びに行っちゃうような。
【橋本】 なるほど! エレクトリックおばあちゃんだ(笑)。
【中将】 なつみちゃんも将来、エレクトリックおばあちゃんになってそうですが(笑)。さて、次も元気なおばあちゃんの曲です。酒井司優子さんで『コンピューターおばあちゃん』(1981)。
【橋本】 『みんなのうた』(NHK)ですね! さっきはエレクトリックで今回はコンピューター……どういう意味でしょうか?
【中将】 約10年たってナウい単語が置き換わっただけですね(笑)。もともと、一般公募の曲だったんですが、当時YMOで人気絶頂だった坂本龍一さんがアレンジを担当してこんなピコピコソングに仕上がりました。
【橋本】 なるほど! しかし元気なおばあちゃんって歌にしやすい感じですね。
【中将】 元気なおじいちゃんって、どこかいやらしい感じも出るからね(笑)。次はそのあたりのことについて考えさせられる曲です。堀内孝雄さんの『老人』(1975)。
【橋本】 公園にたたずんで子どもたちを見つめてる枯れた老人……そうそう、私は今日はこんな曲がいっぱい聴けるのかと思ってたんですよ!
【中将】 イメージとして安心しますよね。年老いて色気も抜けて枯れた老人像。でもそれは正しいのか? 年とったくらいで人間は枯れてものごとを達観できるんだろうか?
【橋本】 たしかに私の父は還暦を過ぎましたが、まだまだ元気に北新地で遊びまわってますね……。
【中将】 僕はそのほうがいいと思いますね。世間の理想的な老人像にはめこまれてしまうなんて、元気な人からしたら地獄ですよ。さて、次はまた視点を変えた老いソングです。グレープ(※さだまさしが初期に結成したユニット)の『無縁坂』(1975)。





