別府市街は、別府湾と鶴見連山に挟まれた南北に細長い緩やかな坂の街。山は西、海は東なのだ。神戸っ子にとれば「海が見えれば南」「山が見えれば北」と体が覚えているので方角的には混乱してしまうが、地形や景観・建造物や位置的なことまで限りなく神戸に近い。
市街地に隣接する港には、共に昭和30年代に建てられた「神戸ポートタワーと別府タワー」。海水浴場と水族館も近くにあり、形状もちょっぴり似ている「鉢伏山と高崎山」。共に戦前に開業した、急こう配の「摩耶ケーブルとラクテンチケーブル」。JRの「須磨・塩屋間と西大分・東別府間」の車窓。山を越えれば「有馬温泉と湯布院温泉」。あと福原と……などなど、食べ物も含めて共通項や似ている部分がたくさんある。

街を歩いていると「ここは、御影の阪急沿線」「ここは、春日野道の山手あたり」など、見立てとして神戸にそっくりな風景に出くわすこともある。そんな“神戸探し”目線で別府を歩くとより楽しめるのだ。
逆にいえば、神戸の中に別府を見つけることもできる。別府を知れば、神戸でバーチャル別府ツアーを楽しめるかも?
(文=サブカル郷土史家 佐々木孝昌)
※ラジオ関西Podcast『神戸放談』#3「別府は神戸説」より





