小学校入学に備えランドセルを購入する時期は、年々早まっている。春までには各メーカーが新商品をリリースすることも多い。デザイン、色、重さなど、多種多様なランドセルがあるが、それでも中には自分の体に合ったものが見つからないという子どもがいる。
「右手にハンディキャップがある孫のためにランドセルを探したが、条件に合うものが見つからなかった」という丹波市在住の細川晋さん。豊岡市の鞄メーカーに25年勤め、現在は医療救急バッグ制作の会社を営む。「既製品がないのなら」と、鞄づくりの知識や技術を生かして、片手でも使いやすいランドセルを制作した。現在3年生なった孫は「おじいちゃん手作り」のランドセルで学校に通う。細川さんはこのランドセルを「かんたんランドセル」と名付け、受注生産を開始。令和6年度の「五つ星ひょうご」にも選ばれたほか、丹波すぐれもの大賞も受賞した。

医療救急バッグにも使うプラスチック製のプレートを芯材にすることで、ランドセルとしては1.3キロという軽量を実現し、箱型にすることで自立するように工夫した。ふた部分のかぶせには、耐光性やはっ水性に優れ、色落ちしづらい特殊生地を使った。留め具についている紐を下に引っ張ったり離したりすることで、マグネットの力で、片手でも簡単にかぶせを開閉できる。胸ベルトにも同様にマグネットがついているので、片手で着脱できる。A4ファイルなども収納でき、反射テープをカブセと両側面につけた。



細川さんは「オーダーメイドなので、色も選べます。何らかの障害を抱えるこどもの選択肢のひとつに加えてもらえれば」と話す。
そんな細川さん。ランドセルに続いて防災リュック「LIFE BOX」を開発した。ふだんは「リュックサック」で、通勤通学に使えるが、万が一の時には簡単な操作でライフジャケットに変身する。





