兵庫県の神戸を代表する企業はいくつか存在しますが、独自の商品でシェアを広げてきたのがケンミン食品株式会社です。中でも主力はビーフン。同社の名を聞くだけで「焼ビーフン」を思う神戸市民も多いと聞きます。
現在開催中の大阪・関西万博では、グルテンフリーラーメン専門店「GF RAMEN LAB 大阪・関西万博店」を出店し大きな話題を呼んでいる同社。なぜビーフンを販売するに至ったのでしょうか? マーケティング部コンシューマーコミュニケーショングループの吉原りょうさんに聞きました。
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同社の創業は1950年。国内ビーフン市場の約50%を占めているのだそう。看板とも言える「ケンミン焼ビーフン」は世界初の“即席ビーフン”なのだとか。
ビーフンの製造を始めた理由について、吉原さんは「第二次世界大戦後、台湾や東南アジアから引き揚げた多くの日本人から『もう一度ビーフンを食べたい』という声が挙がり、そのニーズに応えた同社の創業者・高村健民が神戸で事業を立ち上げたことが始まりです」と説明。

ビーフン製造事業を始めてから10年後の1960年、ビーフンを用いたインスタント食品として即席焼ビーフンを発売。このタイミングは、日清食品が日本初のインスタントラーメンである「チキンラーメン」を発売した2年後にあたります。
「即席ラーメンが『瞬間油熱乾燥法』で開発されている一方で、ビーフンは油で揚げるとパフ化(膨化)してしまうことからその方法を用いることができず、品質を安定させることが難しかったそうです。そこで『熱風乾燥』という方法を考案。健康志向食品が注目されるずっと前に、当社の即席ビーフンは“ノンフライ”を実現していたのです」(吉原さん)
また、他社がインスタントラーメン製造に注力する中でケンミンは「米粉を使った即席麺」にこだわり続けました。こうした差別化を続け、同社は現在の地位を築いてきたといいます。
ケンミンの焼ビーフンは、2020年1月に「最も長く販売されている即席焼ビーフンブランド」として、ギネス世界記録に認定されました。さらに昨年末、同商品が2025年に発売65周年を迎えるにあたり記録更新を行ったそうです。





