■「便利さ」より、「らしさ」を大切に
そんな洋館を管理する森本さんは、一方で、地元・塩屋のまちづくり活動にも関わっている。意外にもその立場は「ブレーキ役」だという。
「開発はあまり好きじゃなくて。『このまま変わらなくていいんとちゃう』というのが、基本的な僕のスタンス。変えたい、便利にしたいというのがあれど、便利にしてかえって危険になることもある。そのバランスはすごく難しい。ブレーキをかけるゆえに、(古きものを)残してよくなることもある」
今は昭和レトロが注目を集めるなど、以前のよさが見直されている。「ショッピングモールより市場のほうがいい、という時代がまた来ている感じもあるが、市場がなくなってしまったらもう取り返せない状況。ちょっと耐えてくれれば、みんながそれが良いと言い始めるのに……」。そんなもどかしさも、古きよきを大切にする森本さんの思いにつながっている。
「まちも、僕は“中身が変わればいい”と思っている人間。外身を新しくつくるのはきりがないこと。少子高齢化でみんないろいろ考えると思うが、ハード面でも『新しいもの、いる?』という思いがある。中身がどんどん変わっていったら、それは素直に豊かになるということではないかな」
塩屋を象徴する洋館から、森本さんはいま、まちの未来に一石を投じている。
※ラジオ関西『Clip』より





