信長が嗅いだ名香、聖武天皇が聴いた音色も 正倉院宝物を細部まで体感 大阪歴史博物館で特別展 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

信長が嗅いだ名香、聖武天皇が聴いた音色も 正倉院宝物を細部まで体感 大阪歴史博物館で特別展

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正倉院宝物の水差し「漆胡瓶(しっこへい)」に着想を得たドレスを制作したデザイナーの篠原ともえさん。左は作品

 正倉院宝物は8世紀、崩御した聖武天皇の冥福を祈り、妻の光明皇后が東大寺の大仏に献納した天皇の遺愛品や寺の法要にまつわる品々など。楽器や調度品、染織品、文書など内容は多岐にわたる。

 東大寺大仏殿の北西側に建つ正倉院には、約1300年の時を経て現在も9000件に及ぶ宝物がきわめて良好な状態で守り伝えられている。古代の遺品は多くが地中からの発掘品だが、正倉院宝物は地上の倉で保管されてきた、世界的にもまれな奇跡の伝世品。

 宝物を一般に公開する「正倉院展」は終戦後の1946(昭和21)年から毎年、奈良国立博物館(奈良市)で開かれてきた(※うち3回は東京開催)。例年多くの観覧者でにぎわうが、開催期間は限定的。宝物のこまかな造形を見ようと、ガラスケース越しに単眼鏡で観察する人も少なくない。

模造 銀薫炉(ぎんくんろ)
模造 螺鈿箱(らでんのはこ)提供:宮内庁正倉院事務所

 今展の内覧会で、大阪歴史博物館の大澤研一館長は「正倉院宝物の大きな特徴は、これまで多くの人がバトンタッチしながら守り続けてきた点。宝物には人々が感じてきた思いの積み重ねがあり、私たちが未来を豊かにしていこうとする上で、さまざまな発想をもたらしてくれる」とあいさつ。

 宮内庁正倉院事務所の飯田剛彦所長は「(本物の)宝物でなければ価値がないと言う人がいるかもしれないが、ふだん肉眼では見えない隠れた部分などがドラマチックに映し出される。そのことにものすごく価値があるということは、ひと目見たら分かってもらえると思う」と述べ、「正倉院展ファンばかりでなく、多くの人に宝物に親しみを持ってもらいたい。皆さんに正倉院宝物を大切に思って支えてもらって、新たな今後の担い手になってほしい」と呼びかけた。

大阪歴史博物館入口(大阪市中央区)

 大阪展の後は、9月20日(土)~11月9日(日)、上野の森美術館(東京都台東区)に巡回する。

◆特別展「正倉院 THE SHOW―感じる。いま、ここにある奇跡―」
会場 大阪歴史博物館(〒540-0008 大阪市中央区大手前4-1-32)6階特別展示室
会期 2025年6月14日(土)~8月24日(日)
開館時間 9:30~17:00 (入館は閉館の30分前まで)
休館日 火曜 ※8月12日(火)は開館
観覧料 大人2000円、高大生1500円、小中生1000円
問い合わせ 大阪市総合コールセンター なにわコール06-4301-7285(8:00~21:00 無休)

大阪歴史博物館公式サイト

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