
19世紀になるとウィーンはカフェの街として、国境を越えて知られるようになった。ジークムント・フロイト、アンディ・ウォーホル、グスタフ・クリムトなどその時々に時代の先端をいく芸術家や文化人がカフェで多くの時間を過ごした。中には第二の居間として利用し、郵便物を受け取る人もいた。現在もウィーンのカフェは社交を楽しむ場、憩いの場として活用され、ひとつの文化機関として定着している。

カフェの最大の特徴のひとつが、店で提供されるコーヒーの種類の多さで、20~30種が用意されている。地元の人が一番よく飲むのが、エスプレッソに泡立てたミルクとホイップクリームをのせる「メランジェ(Melange)」。そして「ウィーンらしいコーヒーというと、甘くない生クリームをエスプレッソにのせた『アインシュペナー』。日本でいうウィンナ・コーヒーですが、ウィーンにはウィンナ・コーヒーという名前はありません」と大西さん。このほか、コーヒーにオレンジリキュールをたっぷり入れた「マリア・テレジア」も「ウィーンっぽい」という。



ウィーンだけでなく、各州にも個性が光るカフェが存在する。同国で最も古いカフェは、ザルツブルクにあるカフェ・トマセッリ。その歴史は1700年頃に始まったとされ、モーツァルトが常連だったことでも知られる。現在も多くの人で賑わう。







-1-e1657712484333.jpg)