「具体美術協会」の軌跡とその後 発祥の地・芦屋ならではの視点で 芦屋市立美術博物館 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「具体美術協会」の軌跡とその後 発祥の地・芦屋ならではの視点で 芦屋市立美術博物館

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 そして「具体」は、1970年の日本万国博覧会(大阪万博)にも展示やイベントで参加した。その関連資料を展示する。「例えば、万博美術館の屋外展示の共同制作を計画する際、『具体』以外の作家の名前も挙がる中、結局は『具体』の作家だけになったというような記録も残っています」と大槻さん。「具体」は72年に解散を迎えるが、「この大阪万博が『具体』のグループとして最後の発表の場所となった」という。

日本万国博覧会「具体美術まつり」フィナーレ 1970
日本万国博覧会「具体美術まつり」フィナーレ 1970

 展示の後半では、「具体」解散後、芦屋にもたらされた新しい息吹に焦点を当てる。

 芦屋では、1970年代に、「芦屋川国際ビエンナーレ」や「ルナ・フェスティバル」といった国際的な催しが開催されていた。いずれも元「具体」のメンバーが何らかの形で関わっている。72年の「芦屋川国際ビエンナーレ」は、吉原に影響を受け若手作家の支援に尽力していた地元在住の真壁義昌の発案で、「具体」会員の松谷武判と生け花・未生流の肥原俊樹らによって企画され、「暮らしの中にアートが必要」という松谷の考えのもと、「買い物かごをもって手軽に行ける」催しだったという。会場には、初公開となる当時の写真が展示され、その様子を窺うことができる。

第1 回芦屋川国際ビエンナーレ 1972 撮影:堀尾貞治 Ⓒ松谷武判アーカイブス
第1 回芦屋川国際ビエンナーレ 1972 撮影:堀尾貞治 (c)松谷武判アーカイブス
菅野聖子 『母音頌》』1974 年 アクリル、布 芦屋市立美術博物館蔵
菅野聖子 『母音頌》』1974 年 アクリル、布 芦屋市立美術博物館蔵

 このほか「具体の登竜門」として知られ1948年から現在も続く「芦屋市展」や、戦後の作家に門戸を広げ大きな役割を果たした「ジャパンエンバ美術コンクール」も紹介し、美術・文化の発信地としての芦屋と、「具体」が芦屋にもたらした影響とその革新性を考える。大槻学芸員は「『具体』の活動がどのような影響を与えたのか、芦屋で70年代に開かれた催しから伺うことができる。またこれまでとは違うアプローチで『具体』を見ることで、『具体』の新たな一面が見えた。これは芦屋(市立美術博物館)だからできること。やらなければと思った」と話す。

芦屋市立美術博物館
芦屋市立美術博物館

■「具体美術協会と芦屋、その後」
2025年7月5日(土)~8月31日(日)
芦屋市立美術博物館 (芦屋市伊勢町12-25)
休館日 月曜日(休日の場合は翌平日) ただし7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)は開館、7月22日(火)、8月12日(火)は休館)
https://ashiya-museum.jp/

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