明治21年創業、姫路で130年以上の歴史を持つ「まねき食品」は今や“幕の内駅弁の元祖”、そして、和風だし×中華そばという組み合わせの“まねきのえきそば”の生みの親として全国に知られる存在です。6代目の代表取締役社長・竹田典高さんに、その歩みと未来への挑戦について詳しく取材しました。
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もともと姫路の茶店から始まった同社は、初代・竹田木八氏が駅で販売した折詰弁当が評判を呼び、その後発展していきました。「鉄道の開通とともに生まれた駅弁文化を、私たちは今日まで守り続けています」と竹田社長は語ります。
戦後に誕生した名物「えきそば」は、和風だしに中華麺というユニークな組み合わせ。物資が不足していた時代、工夫を重ねて生まれた一杯は、今も多くの旅人の心と胃袋をつかみ続けています。その提供スピードの秘密について尋ねると「スタッフは券売機のボタンの位置を覚えており、お客様がボタンを押す指の動きで内容を予測して準備しているんです。ある意味、AIよりすごいですよ」と竹田社長は誇らしげに語ります。
まねき食品は、姫路の食文化を守る存在としても知られています。近年では、姫路のご当地グルメ「タコピア(明石焼き風たこ焼き)」の味を引き継ぎ、かつての雰囲気そのままに「タコピィ」として駅周辺の地下街で復活させ、姫路の味を次世代へと受け継いでいます。
一方で、老舗でありながら常に変化を恐れない姿勢も「まねき食品」の大きな強みです。コロナ禍では大きな苦境に直面しましたが、テイクアウトや冷凍駅弁、ドライブスルーの導入によって乗り越えました。「ピンチをチャンスに」と捉えた同社は、その後スイス・チューリッヒ駅での駅弁販売にも挑戦。幕の内弁当やすき焼き弁当が現地でも大きな人気を集めました。
現在は、2025年大阪・関西万博へも出店中。神戸牛を贅沢に使い、輪島塗の器で味わう 「究極の神戸牛すき焼きえきそば」のほか、名物の「たけだの穴子めし」や姫路の地酒などを提供しています。店舗では姫路城の映像も楽しめるという演出もあり、まるで姫路を旅しているような体験ができるといいます。
「私たちが発信しないと、守るだけでは文化は続きません。挑戦することが私たちの使命です」と、竹田社長は力強く語ります。実際に現地を訪れたというパーソナリティの清元秀泰姫路市長は、「究極のえきそば」の味を絶賛。また「万博では、まねき食品さんのお弁当を手に楽しむ人の姿も多かった。日本人が花見やピクニックなどで、景色を楽しみながら弁当を囲む文化を、万博でも体験することができる。それこそが、まさに“文化の輸出”だと感じた」とコメント。
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駅弁という伝統を守りつつ、国内外にその魅力を発信し続ける「まねき食品」。その挑戦は、これからも続いていきます。
(取材・文=洲崎春花)
※ラジオ関西「ヒメトピ558」2025年6月27日、7月4日放送分より






