神戸の画家として阪神・淡路大震災後の廃虚と化した街と復興後の姿を描く 西田眞人 日本画展 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

神戸の画家として阪神・淡路大震災後の廃虚と化した街と復興後の姿を描く 西田眞人 日本画展 

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『阿弥陀』平成8年(1996) 紙本着色 個人蔵
『阿弥陀』平成8年(1996) 紙本着色 個人蔵

『光のアーケード』に続くのは、復興した神戸、闇から光へと変わる。「美しい神戸を描きたい」という西田が、海から見た神戸、山から見た神戸を描く。『輝く街』には、神戸ハーバーランドの夜景が描かれている。離れた位置から見ると、写真のようにキラキラと輝いて見え、近づくとその光は、盛り上がった絵具(顔料)であることがわかる」という。

『輝く街』平成11年(1999) 紙本着色 神戸ゆかりの美術館蔵
『輝く街』平成11年(1999) 紙本着色 神戸ゆかりの美術館蔵

 復興を果たした神戸の街を記録した後、西田はイギリスの風景を描くようになる。イギリスの透明な光や空気感を日本画で表現できないかと取り組み、新境地を開く。そんな中、母校・京都市立芸術大学の教授職の打診があったが、がんという深刻な病が見つかり、転移もあり長い療養を余儀なくされた。イギリスの清流を描いた『水光』は、最後の作品になるかもと取り組んだ作品だという。西田は闘病の末、快方に向かい、母校の教授も務めた。学生たちから刺激を受け、抽象絵画のような作品も描くようになるなど、変化もあった。神戸の街が震災から復興したように、西田自身も再生し、今に繋がっている。

『夏が行く』平成15年(2003) 綿布着色 敬愛まちづくり財団蔵
『夏が行く』平成15年(2003) 綿布着色 敬愛まちづくり財団蔵
『水光』平成19年(2007) 綿布着色 京都市立芸術大学芸術資料館蔵
『水光』平成19年(2007) 綿布着色 京都市立芸術大学芸術資料館蔵

 現在、西田は、全国の一の宮、101社を描くことをライフワークとしている。各地を訪れ、そこでインスピレーションを受けたものをスケッチし、作品にしている。お社を中心に描くのではなく、雨の中の風景だったり、火事で焼失した後の土台だったり、と様々。島根県出雲市にある経島(ふみしま)という神の依代となった神聖な岩塊を描いた『祠る』は、令和6年度の日本芸術院賞に選ばれ、今年6月には天皇皇后両陛下に説明する機会を得た。このシリーズはまだ完結しておらず、西田は「取り組んている間は病にはならない」と笑うという。

 会場を訪れる人の年齢層は様々。震災から30年となった今、あの頃を知る人も、そうでない人も「神戸の画家が描く、震災から再生した神戸の美に浸ってほしい」と、岡館長は話す。

『祠る』令和6年(2024) 綿布着色 作家蔵
『祠る』令和6年(2024) 綿布着色 作家蔵
神戸ゆかりの美術館
神戸ゆかりの美術館

■阪神・淡路大震災30年特別展 西田眞人 日本画展-再生の祈りをこめて-
会期 2025年7月19日(土)~9月15日(月・祝)
会場 神戸ゆかりの美術館(神戸市東灘区向洋町中2-9-1)
休館日 月曜日 ※ただし9月15日(月・祝)は開館
https://www.city.kobe.lg.jp/kanko/bunka/bunkashisetsu/yukarimuseum/index.html

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