夢に終わった“57年前の春”。
8月21日、大阪・関西万博会場のEXPOナショナルデーホール「レイガーデン」で、プラハ放送交響楽団のソリストらによるコンサートが開かれた。

プラハ放送交響楽団は、チェコ・フィル管弦楽団、ブラハ交響楽団とともに「チェコ三大オーケストラ」に数えられる。


社会主義体制だったチェコスロバキア(当時)で1968年のこの日、民主化運動「プラハの春」が、ソ連(当時)主導の軍事同盟・ワルシャワ条約機構による軍事介入で弾圧され、侵攻してきた戦車に市民が立ち向かった。「チェコスロバキア占領の日」とも呼ばれる。

市場経済の一部導入など社会主義の枠内で社会・政治制度の民主化を目指した内容は「人間の顔をした社会主義」と称された。
春は必ず来ると信じていたが、民主化はソビエト崩壊まで叶わなかった。


プラハ放送(旧チェコスロバキア放送)は、軍事侵攻後も隠れてラジオ放送を続け、抵抗した。ラジオ局そのものが抵抗のシンボルになった。プラハの市民は道路標識を塗りつぶしたり、破壊したりして侵攻するソ連兵を混乱させ、局を守った。
コンサートが始まる前、司会者は「私たちチェコの歴史で、悲しくもあり、希望を捨てなかった不屈の精神の日。音楽を通して人間が民主的で自由な生き方を考える機会になれば」と語り、その模様はチェコでもライブ中継された。







