さらに、兵庫県や和歌山県など関西広域連合の9府県で構成する大阪・関西万博「関西パビリオン」では、開幕後から両県の若手職員が交流、活発な情報交換もアシストして、『山田錦・梅酒・ハンガリーワイン』が一本の線でつながった。
同パビリオンの和歌山県ゾーンは、地元産品をふんだんに使ったスイーツを提供するため、まるでバーカウンターのようなスペースがあったことも後押に。


三宅隆之・兵庫県企画部万博推進局長はラジオ関西の取材に対し、「数年前までの新型コロナ禍の時は、“先が見えない”中でのアイデアラッシュは非常に難しかった。兵庫県として万博にどう関わるか。大阪の隣県という立ち位置で、いかに独自性を出すのかが課題だった。『とにかく動いていこう』というミッションのもと、一丸となって取り組んだ。
こうした中、開催したのが「ひょうごフィールドパビリオンウィーク&フィールドパビリオンフェスティバル2025」(5月20〜30日・11日間)。
季節も良く、灘五郷の酒、播州織など世界に誇れる兵庫の産品や伝統を1週間から10日、集中的に展開したことで、来場者の皆さんに多大な印象付けができた」と振り返った。


これは、大阪・関西万博でダントツ人気のイタリアパビリオンの展開手法と重なる。イタリアはトスカーナ、シチリアなど国内18州の芸術、文化、食、テクノロジーなどを週替りで展示やトークセッションを展開。
ミケランジェロの彫刻やアトラス像などの常設展示と並行したPR戦略が大きな話題となった。
兵庫県の盛況ぶりに、他県からもリサーチが入った。全国区の銘品、培われた伝統の強さに、地に足を着けた戦略が功を奏した。


三宅さんは続ける。「行政としての仕事は多岐にわたるが、万博に携われるのは一生に一度あるかないか。だから悔いの残らないよう、精一杯やろうと。走りながらの半年間は正直、大変だったが、ポスト大阪・関西万博で私たちはこの経験をどう生かすかが課題。やりきった感はあります」と微笑んだ。

京都市から訪れた30代の女性は「兵庫のお酒は“辛口”のイメージがあったが、熟成されただけあってまろやか。京都にも伏見の酒があるが、また違った甘さも感じられた。ハンガリーのワインはまるでスイーツ。食前酒にぴったり」と満足げに話した。
大阪・関西万博は新たな出会いと交流、発見、相互理解、そして尊重…最高潮で184日間の会期を終えようとしている。







