佐々木蔵之介、ルーマニアで作り上げた魂のひとり芝居『ヨナ』 万博で語った思い 11月に大阪公演

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 日本とルーマニアの国際共同制作による舞台作品『ヨナ ― Jonah』で、ひとり芝居に挑んでいる、俳優の佐々木蔵之介さん。ルーマニアをはじめとする東欧4か国公演を成功させ、今月、日本での凱旋公演を東京からスタートしています。

 同公演に臨む前、大阪・関西万博のルーマニア館で行われた合同取材会では、ルーマニアへの思い、舞台への意気込みなどを明かしました。

佐々木蔵之介さん ※撮影:2025年9月24日 大阪・関西万博ルーマニア館

『ヨナ』は、ルーマニアを代表する詩人マリン・ソレスクの代表作が原作。旧約聖書の預言者ヨナの物語を題材にしたモノローグ劇で、神に背き、クジラに飲まれた漁師が暗闇の中でもがきながら光を探す姿を描くものです。

 ルーマニアのラドゥ・スタンカ国立劇場と東京芸術劇場の国際共同制作として誕生した同作。ルーマニアを代表する演出家、シルヴィウ・プルカレーテさんと、佐々木さんがタッグを組むのは、2017年上演の『リチャード三世』、2022年上演の『守銭奴』に次いで3度目になります。

 今春には、ルーマニア・ハンガリー・モルドバ・ブルガリアの4か国6都市でツアーを行い、シビウ国際演劇祭(ルーマニア)では世界を代表するアーティストに贈られる「ウォーク・オブ・フェイム」を受賞。各地でスタンディングオベーションを受けた話題作が、このたび、日本でも観られることになりました。

※撮影:2025年9月24日 大阪・関西万博ルーマニア館

 9月24日に行われた大阪・関西万博のルーマニア館での取材会では、佐々木さんや演出のプルカレーテさん、関係者らが登壇。

「『ヨナ』というのはルーマニアの魂のような詩で、日本でいえば宮沢賢治さん(の作品)のよう」と、作品を表現した佐々木さん。単身でルーマニアにわたって稽古を積み、東欧ツアーに臨んだ経験は大きかったようで、「一緒に、毎日、ごはんを食べてお酒を飲んで一緒にいたからこそ、ルーマニアでしかできなかったような、東欧の香りのある作品になった」といいます。

「まさかルーマニア館でこのように話ができるとは思わなかった」と、万博でルーマニアの関係者と一堂に会した機会に、感慨ひとしおの様子。「いま、僕にとって、ルーマニアは、世界中で一番、ハグしあえる仲間たちがいる国となった。これからもこの絆を大切にしたい」と述べました。

佐々木蔵之介さん ※撮影:2025年9月24日 大阪・関西万博ルーマニア館

 作品については、日本人にはなじみが薄い題材ということで、佐々木さんも最初は「いやー、ちょっとそれは大変だな……」と思ったそう。それでも、これまでに2度、同じルーマニアのスタッフ陣と舞台を作りあげてきた経験もあり、「この方たちとルーマニアで(舞台作品を)作れば絶対におもしろいものができると思って、余計なことを考えずに飛び込んだ」。その姿勢は、ルーマニアの関係者にも高く評価されていました。

 ヨナを演じるうえでも、「ひとりの漁師が魚に飲み込まれて、どうやって出ていくか」という、その1点に全力を注ぎこんだそう。スタッフ陣の理解もあって仕上げられた、「ちょっと紙芝居的な楽しい作品」は、ルーマニアも日本も同じ「希望を持ってなんとか生きようとする」様子を描くもの。「楽しみにしてもらえれば」と、佐々木さんはにこやかに語っていました。

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