「端切れ」も宝物? 地域資源と伝統生かす“衣食住の循環” 体験を通し伝えるSDGs 【兵庫姫路】 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「端切れ」も宝物? 地域資源と伝統生かす“衣食住の循環” 体験を通し伝えるSDGs 【兵庫姫路】

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 姫路市西部・石倉の山あいに広がる「ザッパ村」。一見すると雑貨店やカフェが並ぶ小さな集落ですが、その背景には地域資源と人とのつながりを大切にする取り組みがあります。

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 この「村」を率いるのは、株式会社ZAPPA代表取締役である野阪愛由さんです。始まりは2008年、自宅の一角で開いた小さな雑貨店&カフェでした。「大雑把な性格なのでもしお店をするなら“ザッパ”にしようと高校時代から考えていたんです」と笑う野阪さん。自宅ショップに訪れる人が増え、交流が広がるうちに、自然と“村”と呼ばれるようになりました。

ザッパ村エントランス 提供:株式会社ZAPPA
ザッパ村の外観(提供:株式会社ZAPPA)

 現在の敷地はおよそ1000坪。洋服店やドッグサロン・就労支援施設・音楽教室など、多様な拠点が点在しています。「社員や仲間がそれぞれ“暮らすようにお店を営む”ことを大切にしています。商業施設の集合体とは違い、玄関を開けて『おかえりなさい。また会えてうれしい』と迎える雰囲気なんです」と野阪さんは話します。

 この場所でできる体験として注目されているのが、ひょうごフィールドパビリオンにも認定されている「Oh! Zappa! 小さなしあわせ発見ツアー」です。播州織の端切れを使った織物やバッグづくり、畑での収穫体験、庭の花を活かした小さな演出など、地域資源を生かした衣食住の循環を体感できます。参加者からは「自分で見つけた小さな発見が嬉しい」という声も寄せられています。

播州手織り体験の様子 提供:株式会社ZAPPA
播州手織り体験の様子(提供:株式会社ZAPPA)
播州手織り体験で作成できるポーチの完成例(提供:株式会社ZAPPA)

 こうした取り組みの背景には、野阪さんが大切にしてきた「もったいない精神」があります。布の端切れは雑貨へ、さらに細かいものはアート作品へ。村の象徴である大きなクジラ像にも布を貼り重ね、常に変化を続けています。「SDGsという言葉が広がる前から自然とやってきたことなんです。エコだけではなく、かわいいと思える形にすることを意識しています」と語ります。

約13mあるという、村のシンボル クジラダファミリア 提供:株式会社ZAPPA
約13mあるという村のシンボル「クジラダファミリア」(提供:株式会社ZAPPA)

 さらに野阪さんは、村の枠を超えた構想も描いています。過疎化が進む地域の空き家を活用し、観光や宿泊を通じて地域全体を楽しめる場をつくりたいという思いです。「この土地には歴史や特産品がたくさんありますが、まだ地元の人にも知られていないことが多いんです。そうした魅力をもっと発信して、外の人とも共有していきたいと思っています」と話します。

(取材・文=洲崎春花)

※ラジオ関西「ヒメトピ558」2025年10月3日、10日放送分より

中央:株式会社ZAPPA代表取締役 野阪愛由さん 左:パーソナリティの清元秀泰姫路市長 右:ナビゲーターの洲崎春花
中央:株式会社ZAPPA代表取締役・野阪愛由さん、左:パーソナリティの清元秀泰姫路市長、右:ナビゲーターの洲崎春花
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