日本一短いローカル私鉄 廃線危機とその特殊な理由 和歌山・紀州鉄道『御坊』→『西御坊』をたどる

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“鉄っちゃんアナ”としても親しまれる鉄道通のフリーアナウンサー・羽川英樹さんのラジトピコラム「羽川英樹の出発進行!」。今回、羽川アナがレポートするのは和歌山のローカル線、紀州鉄道です。『御坊』から『西御坊』までをたどりながら、同鉄道の現状をさぐります。

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 和歌山県の御坊市内を走る、紀州鉄道。営業距離わずか2.7kmというミニ鉄道です。距離だけだと、千葉県の成田空港の東側を走る芝山鉄道が一番短く、2.2kmとなります(貨物線や鋼索線を除く)。しかし、この鉄道は京成電鉄と相互乗り入れしているため、単独路線としては、紀州鉄道が日本一短い鉄道と言えるでしょう。

 その紀州鉄道が開業以来、いま最大の廃線危機を迎えています。他の鉄道会社とは違うその特殊な事情も探りながら、あわせて沿線風景もリポートします。

 新大阪から特急くろしおに乗り、1時間45分で到着する、JR御坊駅。紀州鉄道はここの0番ホームから、JRのきのくに線の普通列車と接続して出発します。

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 主に平日に運行されているのは単行の気動車「KR205」。2017(平成29)年に信楽高原鉄道から無償譲渡されたロングシート車両です。

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 そもそも、この鉄道会社は、地元の有力者たちで立ち上げ、1931(昭和6)年に開業した「御坊臨港鉄道」にさか上ります。かつては現在の終点からさらに700メートル先の「日高川」まで伸びていました。

 そののち1972(昭和47)年に東京の会社がオーナーとなり「紀州鉄道」と名を変えます。この会社の本業は、全国展開の不動産事業とホテル経営。鉄道はその企業の信用をより高めるために取得したもので、赤字が出ても本業からの補填でこれまではなんとかやっていけたという経緯があります。

 さて、沿線をたどっていきましょう。『御坊』を出て、1つめの駅『学問』には、かつてスーパー・サイエンス・ハイスクールにも指定された中高一貫の県立日高高校と付属中学があり、自民党の元重鎮・二階俊博氏もこの高校の出身。そして、この『学問』駅の切符や入場券は、受験生に大人気商品となっています。

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