島根県の最西端、山口県との県境に位置する津和野町。「山陰の小京都」と呼ばれるこの町は、鎌倉時代から続く城下町で、白壁の町並みと豊かな文化が今も息づいています。文豪・森鷗外、明治の哲学者・西周といった偉人を輩出した地としても知られ、その歴史的景観は日本遺産「津和野今昔〜百景図を歩く〜」にも認定されています。
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●山陰随一の石垣が残る「津和野城跡」
鎌倉時代に築かれ、約600年にわたり津和野を見守った山城。標高367mの山頂にあり、山陰地方で随一と言われる壮大な石垣がほぼ完全な形で残っています。秋〜冬の早朝には、条件が揃うと城が雲海に浮かぶ幻想的な光景が見られ、全国の写真愛好家にも人気です。山頂へは観光リフト(片道約5分)が便利ですが、2025年12〜2026年2月の間は整備のため運休予定とのこと。
●津和野観光なら「メインストリート散策」
殿町通りは連なる白壁が印象的。道沿いの掘割に約300匹の色鮮やかな錦鯉がゆったりと泳ぎ風情を醸し出しています。この通りに佇む「津和野カトリック教会」は西洋ゴシック様式の建物。明治時代、長崎から送られた潜伏キリシタンの殉教地となった乙女峠に建てられた「マリア聖堂」を記念して建設されました。内部は全国的にも珍しい畳敷きで、鮮やかなステンドグラスが荘厳な雰囲気を醸し出しています。一方、本町通りは商家・酒蔵などが立ち並ぶ昔ながらの商業区。買い物やグルメを楽しむ観光客で賑わっているそう。5月下旬~6月には約3000本の花菖蒲が通りを彩るのだとか。
●津和野名物・源氏巻を巡る「あんこ旅」
津和野の銘菓といえば「源氏巻」。なめらかなこしあんをしっとりとしたカステラ生地で巻いた和菓子です。起源は江戸時代、津和野藩主が京都の公家へ送った進物に対する返礼の使者をもてなすために作られたのが始まりとされています。源氏巻を提供する各店で生地の焼き具合やあんの風味が違うため、食べ比べが醍醐味。最近では「揚げ源氏」なる新しいスタイルも登場しているとか。そして、観光客の注目を集めているのが“あんこ旅”。これは町内の和菓子店や飲食店を巡って「あんこポイント」を集めるというもの。ポイントに応じて津和野観光協会キャラクター「源氏まき子ちゃん」のグッズが当たるくじ引きにも参加できるそう。
●体験プログラム「津和野体験 Yu-na」
ガイドブックには載っていない津和野の歴史・文化・自然を、五感で深く味わえるツアー。「ゆったりした」を意味する津和野の方言“ゆうな”から名付けられています。サイクリングツアーでは電動自転車で藩校の養老館跡武家屋敷や田園風景を巡り、まるで「津和野百景図」に描かれた世界を旅する感覚を味わえるとか。朝は、津和野城跡の大きな石垣の上で町並みを一望しながら、郷土料理「うずめ飯」などが振る舞われます。また、津和野藩が奨励した茶の文化を学びながら、歴史ある茶畑で最高級の煎茶体験もプログラムに組み込まれています。
●津和野イルミネーション
冬季には津和野の町が幻想的な光で彩られます。「殿町通りイルミネーション」は白壁に沿う銀杏並木が青くライトアップされ幻想的な雰囲気に(2026年3月1日まで。午後6時~10時)。「津和野駅舎イルミネーション」はレトロな駅舎が温かな光に包まれ、旅の玄関口として訪れる人を迎えます(2025年12月20日~2026年3月1日、午後6時~10時)。
〈関西方面からのアクセス情報〉
【電車】新幹線と特急「スーパーおき」または「SLやまぐち号」を利用し、約3時間30分〜4時間。
【飛行機(盆期間限定)】伊丹空港から萩・石見空港(約60分) 、バスで津和野駅まで約30分。
【マイカー】中国自動車道・六日市ICまたは小郡ICから約4時間30分〜5時間。




