温かく優しく燃える炎は、人々の心を落ち着かせ、癒しをもたらす。日本固有のろうそく「和ろうそく」の灯りだ。江戸時代には武家屋敷などで、現代の照明の代わりに用いられた。今も寺社や仏事で使われる。一方で「和ろうそくって何?」と知らない人も多いという。現在、和ろうそくを生産するのは、全国で20軒ほどしかない。兵庫県内で唯一、生産を手掛ける「松本商店」(西宮市)の代表取締役・松本恭和さんに、話を聞いた。

「和ろうそくは日本の伝統的なものなんですが、明治以降、洋ろうそくが入ってきたことや、途中で芯を切らないといけないという不便さもあって、急激に衰退したんです」と松本さん。百貨店の催事に出展すると「これ何?新しいろうそく?こんなのできたんやね」と言われたこともあるという。
和ろうそくは、ハゼの実など植物由来のモクロウ(木蝋)が主原料で、芯はい草の髄。火を灯してもすすがとれやすく、風に強く消えにくいとされる。一方、「洋ろうそく」は石油系のパラフィンが原料で、芯には糸が使われている。

和ろうそくは6つの工程で作られる。
和紙とイグサで作られた燈心に竹串を刺していく「芯刺し」。
続いて1つ目の蝋をかける「芯締め」。フワフワしている芯に蝋をかけることで芯を固める。
3番目は「下掛け」。ハゼの蝋を、乾いては塗って乾いては塗って。作りたい太さになるまで作業を続ける。


続いて「上掛け」。表面に下掛けの蝋より硬めの蝋を塗る。溶ける温度も高いので、中の蝋の防波堤のような役割を果たす。ここでろうそくの形ができた。竹串を抜くと、芯の中が空洞になる。これも和ろうそくの特徴の1つ。







