初めて見るのに、なぜか懐かしいものたち。大阪歴史博物館(大阪市中央区)で、日本各地の素朴な郷土玩具を集めた特集展示「郷土玩具が好き―風土と造形の愉しみ―」が開かれている。館蔵コレクションから約180点を展示、各地の風土や信仰、暮らしの中から生まれた玩具の造形や意味をたどる味わい深い企画だ。

郷土玩具は、紙や木、土など身近な素材を用いて作られ、地域の民間信仰や習俗と密接に結びついて発展してきた。子どもの遊び道具としてだけでなく、厄よけや豊作祈願などの願いを託した縁起物としての側面も持つ。本展では、そうした背景を踏まえ、素材やモチーフ、そこに込められた願いや祈りに注目しながら、各地の郷土玩具の魅力を紹介している。

展示品は大正~昭和初期のものが中心。まず気付くのは、動物をモチーフにしたものが多いこと。犬、牛、馬などは、古来、人々が生活をともにした身近な生きものである一方で、神に通じる存在として捉えていたことが分かる。犬はお産が軽く多産、成育も良いことから出産や子育てにおいての縁起を担がれた。犬の張子は頭や目が大きくデフォルメされ、現代のキャラクターやぬいぐるみに通じる丸っこいフォルム。当時と今の「かわいい」感覚が遠くないことを実感する。「笊(ざる)かぶり犬」(東京)は、かわいらしい姿の犬が魔除けの力を持つと信じられているザルを頭に乗せた張子で、子どもの幸せを願う親心が伝わってくる。

「伏見人形 一文牛(いちもんうし)」は、明治から大正時代にかけてつくられたとみられる。背中に「〇に十」の印を描いた素朴な造形の牛の人形で、かつては腹に穴を開けて米粒を入れ、川に流すことで疱瘡(ほうそう=天然痘)よけを祈る習俗があった。牛が草を食べることから、病の瘡(くさ=かさぶた)を食べて病を早く治してくれるという民間信仰が背景にあるとされ、郷土玩具が信仰と深く結びついていたことを物語る。
伏見人形は、伏見稲荷大社の参道で売られてきた土人形で、長い歴史を持つ。稲荷山という聖地の土を使うことで、人形そのものにパワーが宿ると考えられてきた。全国の土人形の源流とされ、そのモチーフは動物や縁起もの、説話に基づくもの、門つけ芸の「ちょろけん」などバリエーションに富む。
「虎」は身近な動物ではなかったが、玩具のモチーフとしてはおなじみだったようだ。「神農(しんのう)の虎」は、大阪市中央区の少彦名(すくなひこな)神社で毎年11月に行われる神農祭の縁起物として授与される張子の虎。疫病退散の願いを込めた玩具として知られる。19世紀にコレラが流行した際、薬とともに張子の虎が配られたという伝承があり、病除けの象徴として大阪の人々に親しまれてきた。







-1-e1771072583728.jpg)