アート史を優品で一望 時代・様式異なる巨匠らが共演 京都市京セラ美術館「西洋絵画400年の旅」

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ジャック=ルイ・ダヴィッドの工房《サン=ベルナール峠を越えるボナパルト》 1805年 油彩・カンヴァス

 高貴な人々の肖像画が並ぶ中、目を引くのは、犬を抱いた少女が微笑む「少女と犬」(1780年ごろ、ジョシュア・レノルズ)。田園風景を背景に座る少女はいたずらっ子のようなあどけない表情で、生き生きとした存在感を放つ。18世紀末のイギリスで生まれた、肖像画と風俗画の性格を合わせ持つ新ジャンル「ファンシー・ピクチャー」の代表的な作品とされる。

ジョシュア・レノルズ《少女と犬》1780年頃 油彩・カンヴァス

 第2部では19世紀のフランス絵画を中心に紹介。18世紀末以降、既存の権威や規範に反発して現れたのが、近代の幕開けとともに生まれたロマン主義だ。ロマン主義絵画は、誰もが美しいと思う古典的な美の規範よりも画家の個性を重視し、それぞれの想像力や感情から生まれる自由な表現を尊んだ。それによって絶対的な美の基準は揺らぎ、「独創性」が重んじられるようになった絵画は、過去の伝統や規範を否定して今を見つめ、「新しさ」を追求していく傾向へと変化した。さらに、中産階級の好みにより、風俗画や風景画、静物画といった平易な作品の需要が高くなり、歴史画の優位性やジャンルの序列は崩壊していった。

 画家の個性が花開いていく様子は、第2部の作品で見て取れる。「赤い服の女」(1892年ごろ、ピエール=オーギュスト・ルノワール)、「ポール・アレクサンドル博士」(1909年、アメデオ・モディリアーニ)、「観念」(1966年、ルネ・マグリット)など、いつかどこかで見た気がする名画群を堪能できる。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《赤い服の女》1892年頃 油彩・カンヴァス
ルネ・マグリット《観念》1966年 油彩・カンヴァス

 展示を担当した同美術館学芸補助の大熊夏実さんは「絵画とはどうあるべきか、もっと自由でいいのではないかという考えとともに、画家の個人的な事柄や精神的な世界など枠組みにとらわれない主題が生まれ、造形表現も発展した。それぞれの個性的な表現を味わってもらえたら」と話した。

◆「西洋絵画400年の旅―珠玉の東京富士美術館コレクション」
会場 京都市京セラ美術館 本館 北回廊1階(〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町124)
会期 2026年3月20日(金・祝)~5月24日(日)
休館日 月曜日 ※5月4日は開館
開場時間 10:00~18:00(入場は17:30まで)
観覧料(税込) 一般2000円、高大生1500円、小中生500円
問い合わせ 京都市京セラ美術館、電話075-771-4334

展覧会公式サイト https://www.ktv.jp/event/seiyoukaiga400/

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