高齢化や人口減少に伴う担い手、資金不足の影響から、文化財保全を取り巻く環境も厳しさを増している。文化財修理の現状と修復技術の最前線にスポットを当てた特別展「文化財よ、永遠に2026―次代につなぐ技とひと」が泉屋博古館(京都市左京区)で開かれている。公益財団法人住友財団による文化財維持・修復事業助成の成果を一堂に紹介するもので、展示替えを行いながら3期にわたって開催する。6月28日(日)まで。


専門家や技術者らが1つの作品のために連携、厳選した材料を惜しみなく使い、最善を模索しながら挑む文化財修理。その取り組みが、コストパフォーマンス重視の現代においてどこまでできるのか。本展はそれを問う試みでもある。長年にわたり国内外の文化財修復を支援してきた同財団の活動を背景に、修理を終えてよみがえった作品の魅力と、その背後にある技術や人々の努力を伝える。展示は「もの」「わざ」「ひと」の三つの視点で構成され、文化財修理の実例や意義を分かりやすく紹介する。

「佐竹本三十六歌仙絵切」(鎌倉時代・13世紀)は、最古級の歌仙絵として珍重されてきた絵巻だが、大正時代に一紙ずつ分割、各家の掛軸となった。そのうち「源信明」は住友家が愛蔵。その後、泉屋博古館の所蔵となった。もともと橫方向に巻く絵巻から縦方向に巻く掛軸に改めた影響で、「源信明」も画面に折れや亀裂が発生。斑点状の染みや絵具の剥落も見られたが、裏打紙を取り換えて折れを直したり、浮き上がった絵具には膠(にかわ)の水溶液を塗って定着させ剥落を防ぎ、安定した状態に戻した。


「繻子地刺繍 仏涅槃図」(江戸時代・17世紀)は、縦285センチ、橫252センチの巨大な刺しゅう作品。中央の釈迦像には糸がついており、掛軸に空けた穴にその糸を通して着脱できる構造で、国内で他にない作例だ。なぜ着脱構造であるか理由は分かっていない。修理では、表装の損傷や刺繍糸の乱れを直し、釈迦着脱の糸を通す穴を補強した。所蔵する三寳寺(京都市中京区)の住職は、住友財団に助成の申請を出し続け、5年目にしてようやく希望が叶ったという。同館の竹嶋康平学芸員は「涅槃図を良い状態で残したいというご住職の熱意、執念が実った」とたたえる。






