古来、神々や仙人が住まう神秘の地として崇められてきた吉野・大峯(奈良県・和歌山県)。その長い歴史と深い信仰を貴重な文化財でたどる特別展「神仏の山 吉野・大峯―蔵王権現に捧げた祈りと美―」が奈良国立博物館(奈良市)でこのほど開幕した。修理後初公開となる藤原道長筆の経巻や1000年ぶりに山を下りた大峯山寺の蔵王権現立像など、国宝16件、重要文化財38件を含む167件の品々が聖地へと誘う。6月17日(日)まで。

奈良県南部の吉野から和歌山県の熊野へと連なる大峯の山々は、日本における山岳修行発祥の地とされる。修験道の場として発展し、平安期には藤原道長ら貴族や天皇が参詣、南北朝期には後醍醐天皇が拠点を置くなど、政治・宗教の両面で重要な役割を担ってきた。本展はこうした歴史的背景を踏まえ、自然と神仏信仰が融合した独自の文化をひもとく。

目玉の1つは、藤原道長自筆の国宝「紺紙金字経」。紺色の紙に金色で丁寧に書かれているのが特徴で、1007(寛弘4)年、経筒に納めて金峯山に埋められた。未来へ仏法を伝えようとする道長の願いが込められた“祈りのタイムカプセル”だ。近年、金峯山で見つかり、約3年かけて修復された。今回は修理後初めての公開となる。

吉野・大峯信仰の象徴である蔵王権現像が多数展示されている点も大きな見どころ。憤怒の表情と躍動感あふれる姿で知られる蔵王権現の造形美を間近で見ることができる。さらに金峯山寺蔵王堂の内部空間と秘仏本尊・蔵王権現像を再現したVR映像も上映。幅約18メートルの大型スクリーンに実物大に近いサイズで投影され、その魅力を存分に味わえる。






