韓国・ソウル出身でありながら、島根県雲南市でクラフト生マッコリを造り、生マッコリ工房「OMONA YANGJO(オモナ ヤンジョ)」を立ち上げたソン・サンヒョンさん。2004年に来日し東京・大阪・京都で暮らしたのち、2018年に雲南市へ移住した。
きっかけは、雲南市の地域おこし協力隊への参加だったという。コロナ禍では、地元特産品のEC販売や地域PRにも携わっていたソンさん。そんな中で出会ったのが、雲南市の米だった。「このお米、本当においしいな」と感じたことが、人生を大きく動かした。

韓国の伝統酒・マッコリも米から作られる。「この米でマッコリを作ったらおもしろいかもしれない」そんな発想からクラフト生マッコリ作りが始まった。もともと酒好きだったわけではなかったが、「地域の魅力になるものを作りたい」という思いは強かったという。
韓国語教員資格取得のため、韓国の大学へオンラインで通っていた際、改めて韓国のマッコリ文化に触れたことも後押しとなり、そこから独学で醸造を学び始めた。さらに、日本では酒造免許が必要となるため、法律や申請もすべて一から勉強。そうして誕生したのが生マッコリ工房「OMONA YANGJO」だった。
代表商品のひとつが「OMONA生マッコリ 雨の日」。OMONAは韓国語で「驚き」や「感動」を意味し、韓国で「雨の日にマッコリを飲む文化」があることや発酵中に立つ泡の音が雨音のように聞こえることが名前の由来になっている。

原料は米・水・そして「ヌルク」と呼ばれる韓国伝統の発酵材料。野生酵母を含むヌルクの力でじっくり発酵させていくことで、独特の味わいが生まれる。ソンさんのマッコリは、日本で一般的に流通している韓国マッコリとは少し異なる。炭酸は控えめで、アルコール度数はやや高め。ゆっくりと味の変化を楽しめるのが特徴だという。
都会の生活を長く経験してきたソンさん。今では雲南市の暮らしにも大きな魅力を感じており、「便利ではないけれど、自然が豊かで時間の流れがゆっくりしている。こういう暮らしもいいなと思ったんです」と話す。
出雲の米と韓国の伝統文化。異なる土地の魅力を掛け合わせながら、ソン・サンヒョンさんは、雲南市から新たなマッコリ文化を発信している。




