近年、海水温の上昇や海洋環境の変化などを背景に、水産資源の減少が全国的な課題となっています。海の恵みを将来へつないでいくため各地で資源を守る取り組みが進められるなか、兵庫県明石市では、漁業協同組合を中心に、海底を耕す「海底耕耘(こううん)」や海底に残された釣り具の回収などが続けられています。
「漁師の仕事は魚を獲ることだと思われがちですが、それだけではありません」と話すのは、明石浦漁業協同組合の組合長・戎本裕明さんです。

地元の小学生も訪れるという見学会では、セリの見学だけでなく、海の環境について伝える時間も設けています。


子どもたちに「漁師の仕事は何だと思う?」と尋ねると、多くが「魚を獲ること」と答えるそうです。しかし実際には、海の環境を守り、資源を育てることも、漁業者の大切な役割となっています。
そのひとつが、「海底耕耘(かいていこううん)」。畑を耕すように海底をかき混ぜ、底にたまった栄養分を巻き上げることで海の生態系の回復につなげようという取り組みです。
魚の減少の背景には、ダムや堰(せき)の整備、下水処理の普及などによって、海へ流れ込むリンや窒素などの栄養分が減少していることも一因として考えられています。漁業者の間では、「魚が減った原因は獲りすぎだけでは説明できない」という声もあり、海そのものの環境を見直す必要性を感じたことが、海底耕耘をはじめるきっかけになったそうです。
海底には、タコ釣りで使われる「タコ餌木(えぎ)」と呼ばれる疑似餌(ぎじえ)が数多く残されています。釣り糸が切れて海底に残った餌木は、漁の網やタコ壺に絡まるなど、新たな問題を生んでいるのだとか。


こうした状況を受け、明石市漁業組合連合会では、回収した餌木を1個50円で買い取る取り組みを開始。初年度だけで約1万5千個が集まり、その後も毎年およそ1万個の回収が続いています。この結果から、海底にはいまも多くの餌木が残されている現状が伺えます。





