なら国際映画祭、19日開幕 81カ国と地域から応募、新鋭監督の傑作上映 東大寺でレッドカーペット

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 世界各地の新鋭監督による優れた映画作品が奈良に集まる「なら国際映画祭2026」が19日(土)から23日(水)まで、奈良市内各所で開かれる。第9回となる今回のテーマは「CROSS」で、国や言語、文化、世代、価値観を超え、映画と人が出会う5日間となる。81の国と地域から寄せられた1438作品の中から、2つのコンペティションに計18作品を選出。カンヌ、ベルリン両映画祭に関連する作品や、日伊国交樹立160周年を記念した特集なども組まれ、多彩な映画文化を奈良から世界に向けて発信する。

なら国際映画祭のエグゼクティブディレクター、河瀬直美さん(右)とアンバサダーのトミー・バストゥさん
奈良公園(奈良市)

 同映画祭は2010年、平城遷都1300年を機に映画作家の河瀨直美さんをエグゼクティブディレクターに迎えて始まり、2年に1度開催。中心となる「インターナショナルコンペティション」には監督デビュー作または第2作まで、日本初上映という条件の下、81の国と地域から279作品の応募があり、うち8作品が選ばれた。同部門の審査委員長は「007/慰めの報酬」(2008年)などで世界的に有名なフランス・ウクライナ人俳優のオルガ・キュリレンコさん。アンバサダーは連続テレビ小説「ばけばけ」への出演で知られる俳優トミー・バストゥさんが務める。

審査委員長を務めるオルガ・キュリレンコさん

 注目作の1つは、カンボジアのポーレン・リー監督による「ビカミング・ヒューマン」。閉館した映画館の元守護霊だった少女が、生まれ変わる場所を求め、急速に姿を変える街をさまよう。残酷な現実に直面し、人間として生き直すのか、それとも居場所のない幽霊のままでいるのかを迫られる物語で、静けさとファンタジーが織りなす詩的な作品だ。リー監督は独学で映画を学んだ新鋭で、本作が長編劇映画デビューとなる。

 カザフスタン、モルドバ、アイルランド合作の「マリカ」は、12歳の少女と母親の強い絆を描く。母の再婚をきっかけに、イスラムの伝統に従って実父の家へ移ることになったマリカ。家族への愛情と社会的なしきたりの間で揺れる少女の姿を通して、親子の関係を見つめ直す。

『ビカミング・ヒューマン』
『マリカ』

 学生たちの作品を対象とした「NARA-wave学生映画コンペティション」も、映画祭の柱の1つだ。世界74カ国から集まった1159作品の中から10作品を選出。日本大学芸術学部の笠原一輝監督による「Recorded at the Hotel」は、仕事で遠方に出張することになった女性と、同行を決めた恋人が「2人でいること」の意味を考え、過去を振り返りながら迷う物語。フランスで学ぶ小野遥香監督の「階段の下で」は、実家に戻った女性が、母親との関係を見つめ直す作品だ。そのほか、離婚以来別居していた父と娘が映画制作を通じて関係を修復していく「自由研究『マイファミリー』」、視力を失いつつある母親と息子らが、言葉に頼らない新しいコミュニケーションを探すポーランド映画「『訳:it's okay to be quiet』」など、意欲的な作品が並ぶ。

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