「父は神戸が大好きだった」 水木しげるさんの長女が逸話披露 神戸ファッション美術館「魂の漫画展」

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 最終章「人生の達人 水木しげる」は、長い苦労の末に漫画家として成功した水木さんの言葉に耳を傾ける空間だ。水木さんが「鬼太郎」でようやく漫画家として食べていけるようになったのは40歳を過ぎてからだった。戦争で左腕を失い、戦後は極貧生活を経験。それでも漫画を描き続けた。そんな人生から生まれた「好きなことをやりなさい」「怠け者になりなさい」といった言葉は、今も多くの人の心を捉える。ただし、「怠け者になりなさい」という言葉は、単に怠けることを勧めているわけではないという。原口さんによれば、水木さん自身は根っから勤勉で、働きたくなくても働いてしまうような人だった。「怠け者になりたい」という思いを込めた言葉でもあったという。実際、水木さんは晩年まで精力的に仕事を続けた。その言葉には、漫画家としての成功だけではなく、長い人生を生き抜いた1人の人間としての強い生き様が裏打ちされていた。

 興味深いのは、第1章で紹介された少年時代の虫の絵が、晩年になって再びよみがえったことだ。出版社から「少年時代の虫の絵が素晴らしいので、絵本にしては」と勧められ、実際に描き始めた。出版には至らなかったものの、若いころに大好きだった絵が、人生の終盤になって再び創作の対象になった。自身が好きなものを生涯にわたって追求した水木さんらしい道程である。

『好きなことをやりなさい』 2009年 (C)水木プロダクション
水木しげるさん(C)水木プロダクション

「父は忙しすぎて、私が子どものころはゆっくり話す時間はなかった。『お前が大事だ』と直接言われたこともなかったが、父から大事にされていること、目に見えない愛情は感じていた」と原口さん。会場の最後に設置された映像コーナーでは、水木さんが熱っぽく語る姿が上映されている。みずみずしい好奇心が伝わってくる、貴重な肉声だ。原口さんは「人生の達人たる父から皆さんに贈る、お土産のようなメッセージ。ぜひ受け取って帰っていただきたいです」と話した。会期は11月29日(日)まで。

神戸ファッション美術館入り口

◆特別展「水木しげる 魂の漫画展」
会場 神戸ファッション美術館(〒658-0032 神戸市東灘区向洋町中2-9-1)
会期 2026年9月12日(土)~11月29日(日)
休館日 月曜日と9月24日(木)、10月13日(火)、11月24日(火) ※9月21日(月)、10月12日(月)、11月23日(月)は開館
開館時間 10:00~18:00(入館は17:30まで) ※金・土と9月20日(日)~22日(火)、10月11日(日)、11月22日(日)は19:30(入館は19:00)まで
観覧料 一般1400円、大学生・神戸市外在住の65歳以上700円、高校生以下・神戸市内在住の65歳以上無料
問い合わせ 電話078-858-0050

神戸ファッション美術館公式ホームページ

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