国宝・重文6件 「紡績王」武藤山治のコレクション、大阪市立美術館に寄贈 来春の特別展で公開

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 実業家・武藤山治(1867~1934年)が収集したコレクションのうち、国宝2件、重要文化財4件の計6件が大阪市立美術館(大阪市天王寺区)に寄贈された。同館がこのほど発表した。いずれも日本美術史上重要な作品で、大阪市立美術館は2027年4月から始まる特別展「復活!武藤山治コレクション―国宝を見出した紡績王」で公開する。

大阪市立美術館

  武藤は明治から昭和にかけて「鐘淵紡績」(後のカネボウ)の経営に携わり、同社を、日本を代表する企業へと育てた実業家で、「紡績王」と呼ばれた。一方、古美術にも深い関心を寄せ、日本や東洋の絵画、仏教美術、古写経などを幅広く収集した。とりわけ与謝蕪村の作品を早くから評価し、「蕪村画集」を刊行するなど、蕪村作品を世に紹介したことでも知られる。

武藤山治(1867~1934年)

 今回寄贈された作品のうち、国宝の1つが与謝蕪村の「夜色楼台図」(江戸時代・18世紀)。雪に覆われた山と家々を描いた最晩年の作で、墨を主体とした画面に淡彩を加え、夜の静寂と奥行きを表現している。蕪村画の最高峰とされる。

 もう1件の国宝は「法華経(久能寺経)」(平安時代・12世紀)。金銀の切箔や砂子、野毛、染紙などあらゆる装飾技法が施された華麗な逸品。鳥羽上皇(1103~1156年)と后の周囲にいた人々の写経と考えられ、江戸時代、駿河国の久能寺(現・鉄舟寺)に伝来した。

国宝「夜色楼台図」与謝蕪村 1幅 江戸時代 18世紀 大阪市立美術館 武藤山治コレクション(武藤治太氏遺贈)

国宝「法華経(久能寺経)」4巻のうち1巻 薬草喩品第五(部分) 平安時代 12世紀 大阪市立美術館 武藤山治コレクション(武藤治太氏遺贈) ※半期展示

 重要文化財は、確認できる鑑真和上の画像として最古の作品である「鑑真和上像」(鎌倉時代・13~14世紀)をはじめ、「五秘密像」(鎌倉時代・13世紀)、「『枯木図』子庭祖柏」(元時代・14世紀)、「異国降伏御祈供養注進案」(鎌倉時代・13~14世紀)の4件。「夜色楼台図」以外は、いずれも公開期間を限定して特別展に出品される予定だ。

 大阪市立美術館は当初1943年、さらに近年も数回にわたり武藤家から作品の寄贈を受け、2025年、それらを「武藤山治コレクション」として統合。コレクションのうち「金光明経巻第2」は昨年、国宝に指定された。今回の新たな6件は武藤山治の孫にあたる武藤治太さん(大和紡績元社長、1937~2025年)の遺贈。治太さんの長男で、國民會館会長の武藤伸太さんは「明治期から昭和期にかけて活躍した実業家・武藤山治という人物を、より多くの人に知ってもらいたい。どのような審美眼で美術品を見つめ、収集してきたのか、その一端を感じ取っていただけたら」とコメントしている。

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