ゴッホの絵画が世界各地から兵庫県立美術館に結集 特別展「ゴッホ展」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

ゴッホの絵画が世界各地から兵庫県立美術館に結集 特別展「ゴッホ展」

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「ひまわり」以外のゴッホをご存知だろうか……。

 そもそもゴッホは何を考え、何を描きたかったのか。どのような経緯でどのような作品を遺したのか。そうしたゴッホの真に迫る特別展「ゴッホ展」が、3月29日(日)まで兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開催されている。

 鮮やかな色彩と勢いのある筆づかいで現在も世界中から広く愛されているフィンセント・ファン・ゴッホ。彼の生涯はたったの37年、なかでも画家として活動していたのは10年間のみ。晩年に評価されたゴッホの生涯を隅々まで理解して、ゴッホを楽しめる展示が神戸に上陸する。

兵庫県立美術館で開催中の”ゴッホ展”
兵庫県立美術館で開催中の”ゴッホ展”

 ゴッホは、弟テオをはじめ家族や友人たちにたくさんの手紙を送ったことで知られる。近況報告だけでなく、自身が得た感動、決意や葛藤など、ゴッホの心情がよく表現されている。今回の特別展では、こうした言葉の数々が、作品とともに掲示されているのが特徴だ。ゴッホの言葉に導かれながら作品を鑑賞できる。

”ゴッホ展”会場内の風景
”ゴッホ展”会場内の風景
”ゴッホ展”会場内の風景
”ゴッホ展”会場内の風景

 この特別展のキーワードは「ハーグ派から印象派へ」。初期にハーグ派(19世紀後半、オランダの都市ハーグを拠点に活動した画家グループ)に影響を受け、そして様々な芸術家たちとの交流を経て印象派(自然や事物から受ける印象をそのままに描写する技法を用いたグループ)の表現に至るまでの軌跡を追うことができる。

 第1部「ハーグ派に導かれて」では、初期にゴッホが独学から始め、真摯に絵画へ向き合った頃の作品が展示される。はじめ農民画家を目指していたゴッホは、敬愛するミレーの絵を写すことなどから制作を始めた。また、地元の農民たちの日常を題材に、繰り返し描いた。例えば、下の《籠を持つ種まく人》では、頭と身体のバランスを見るとお世辞にも均整がとれているとはいえない。ゴッホも最初から絵が上手かったわけではないのだ。

フィンセント・ファン・ゴッホ《掘る人(ミレーによる)》1880年10月 鉛筆、黒チョーク・網目紙 37.5×61.5㎝ クレラー=ミュラー美術館 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo
フィンセント・ファン・ゴッホ《籠を持つ種まく人》1881年9月 黒チョーク、茶色と灰色の淡彩、不透明水彩、白の不透明水彩によるハイライト・賽の目紙 62×47.3㎝ クレラー=ミュラー美術館 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo

 また、ある時期には、農民の顔ばかりを集中して描いている。ゴッホの飽くなき探求心を感じることができるだろう。

フィンセント・ファン・ゴッホ《農夫の頭部》1885年 油彩・カンヴァス 46.4×35.3㎝ スコットランド・ナショナル・ギャラリー ©National Galleries of Scotland, photography ny A Reeve
フィンセント・ファン・ゴッホ《農夫の頭部》1885年 油彩・カンヴァス 46.4×35.3㎝ スコットランド・ナショナル・ギャラリー ©National Galleries of Scotland, photography ny A Reeve

 その後、ゴッホはハーグ派の画家たちから画材の選び方をはじめ、デッサンの仕方など、絵画の基礎を学んだ。そのハーグ派の中心的な人物だったのが、ゴッホの唯一の師といわれるアントン・マウフェ。マウフェからは、モデルをしっかり観察すること、習作を重ねること、色をつけることによる効果を学んだという。ハーグ派との交流の中でゴッホは、主に絵を描く”姿勢”を身につけた。

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