生産能力の向上や魅力的な新商品の開発を通じ「モロヘイヤの町」として知られる兵庫県上郡町をさらに盛り上げようと、モロヘイヤを用いた加工食品で全国トップの健康食品メーカー・株式会社青粒(神戸市北区)と町が野菜(831)の日・8月31日、「モロヘイヤ協定」(包括連携協定)を結んだ。上郡町の遠山寛町長が「全国に売れる商品を開発したい」と抱負を述べると、青粒の永原豊大社長は「第2次モロヘイヤブームを必ず巻き起こしたい。2021年度中には何らかの結果を出したい」と力強く応えた。
モロヘイヤは食物繊維が豊富で腸内環境を整える効果が期待されるほか、抗酸化作用の高い栄養素が多く含まれる「野菜の王様」。原産は中東や北アフリカ、日本では5月~9月ごろに栽培され、夏に旬を迎える。
1980年代にブームとなったモロヘイヤ。上郡町は1990年代にまちおこしの一環としてモロヘイヤを使った商品の開発に着手。モロヘイヤを粉末状にして麺に練り込んだ「円心モロどん」をはじめ、ふりかけや羊羹、ポタージュスープなど数々の商品を生み出した。しかし2000年代に入りブームは衰退。話題性とは裏腹に、生産農家の減少などで上郡産モロヘイヤの生産量は上がっておらず、商品の販路が限られていることなどから商品の売り上げは減っている。
そこで町は、商品開発力や全国規模の販売チャンネルを持つ青粒との連携を模索。町内の休耕地を活用し、モロヘイヤ専用の耕作地「モロ平野(ヘイヤ)」を約3,000平方メートル確保し、上郡産のモロヘイヤを使った製品の製造や参加型イベントなどを企画する。上郡町の宮下弘毅企画政策課長は「産業・農業の振興だけでなく、高齢者の活躍の機会や、生きがいの創出につなげたい」と期待を寄せている。