警察庁は、1月18日に召集された通常国会で、ボーガン(=洋弓銃)の所持を許可制にする銃刀法改正法案提出を目指す。兵庫県宝塚市で4人殺傷、神戸市で1人負傷など、2020年に立て続けにボーガンが凶器となった事件を受けてのもの。
菅首相は「所持を禁止にして(都道府県公安委員会による)許可制にする」と述べた。今後はスポーツとしての標的射撃や動物麻酔のためなど、使用目的を限定して許可する見込み。
事件が相次いだ兵庫県では、ボーガン所有者に届出義務を課した条例を、異例のスピードで2020年12月に施行。兵庫ではすでに青少年愛護条例で18歳未満への販売や貸与を禁じていたが、成人を含め一律に所持を規制する条例は全国初。規制対象となるボーガンを取得した場合は14日以内に届け出ることが必要となる。違反した場合は5万円以下の罰金。
条例施行から1月21日までに158件・193台の届出(申請)があった。条例施行後に新たに購入したのは2台(2人)。担当者は「阪神・淡路大震災前であれば、県内に競技としてボーガンを撃てる場所があったが、今は存在しない。30~40年前の愛好家が、使っていないものの、引き続き手元に置いているケースがほとんど」と話す。
また通常国会で警察庁が銃刀法の改正を目指していることについては「県の審議会の場でも、法令で規制すべきだとの意見が出ており、あるべき方向に向かっている。実効的な規制を行う意味でも、国が一律に法の網をかけることが重要だ」と一定の評価をしている。
警察庁によると、2010年1月~2020年6月に全国の警察が摘発したボーガン使用事件は32件。このうち生命や身体に危害が加えられた殺人や殺人未遂などが13件にのぼった。
神戸地検は22日、宝塚市で家族ら4人にボーガンを撃ち死傷させたとして、無職の男(24)を殺人・殺人未遂の罪で起訴した。2020年7月6日~2021年1月14日、精神鑑定するための鑑定留置を実施した。その結果、刑事責任能力を問えると判断した。今後裁判員裁判として審理される。