2009年から2011年にかけて、姫路市内や東京都内などで元暴力団組員など男性3人を殺害したなどとして、殺人や逮捕監禁致死などの罪に問われた男(49)の控訴審で、大阪高裁は28日、検察側と弁護側の双方の控訴を棄却、一審の神戸地裁・姫路支部の無期懲役の判決を支持した。公判では弁護側が殺人罪などについて無罪を主張し、検察側は死刑を求刑していた。
一連の事件で死亡した3人のうち2人の遺体は見つかっておらず、一審の神戸地裁・姫路支部は2018年11月、死刑を求刑した検察側の主張に反し、1件の殺人事件については証拠が不十分などとして無罪としたうえで無期懲役を言い渡した。一審の実質審理期間は、裁判員裁判としては過去最長の207日(初公判から判決までの公判期日は70回)にのぼった。
一審で無罪認定されたのは、2009年から翌年にかけて、男が共犯者の男と東京都世田谷区の広告会社社長の男性を連れ去り、姫路市内のマンションで檻に入れて監禁したうえ、拳銃で射殺したとされる事件。客観的な証拠はないと指摘された。
弁護側は控訴審で、事件について「本当に拳銃を使ったか不明で、そもそも起訴状での殺害手段の事実認定に誤りがある」と主張した。さらに「約4年にわたる長期間の捜査で、参考人への聴き取りについて、多い人で100回にも及んだことに触れ、その間に捜査機関の見立てに沿った供述に変わってきており、そのプロセスが十分に検討されていない。何となく有罪に、という方向性で安易に事実認定された」と述べていた。大阪高裁は、検察側・弁護側双方が請求した書証(証拠資料)の採用や証人尋問などはすべて却下し、一回で結審していた。