「2つの山口組」。一連の抗争で最初の判決が19日、神戸地裁で言い渡された。
尼崎市の路上で2019年11月、特定抗争指定暴力団・神戸山口組の男性幹部が射殺された事件で、殺人・銃刀法違反などの罪に問われた、対立する特定抗争指定暴力団・六代目山口組の元組員(53)に対し、神戸地裁は19日、検察側の求刑通り無期懲役を言い渡した。
元組員は2019年11月27日午後5時すぎ、尼崎市神田南通の路上で、神戸山口組幹部(当時59)に自動小銃で弾丸15発を撃ち、死亡させたとされる。さらにその後、神戸山口組の別の組員を殺害するため、自動小銃1丁と回転弾倉式拳銃1丁、銃弾39発を隠し持ち、京都市南区まで車で向かったなどとされる。
元組員は起訴状の内容を認めたが、自動小銃を使った理由について「インパクトのあるものを使おうと思った」と、拳銃と合わせて350万円で購入したことを明かしたが入手先や入手時期は黙秘していた。
弁護側は、元組員が「対立する神戸山口組へに対し『許せない』という個人的な思いから行った襲撃」だとして、六代目山口組の組織的な関与を否定した。しかし検察側は「組織からの何らかの指示や支援があった」と指摘、「強固な殺意と綿密かつ周到な犯行計画のもと、対立組織への威嚇と報復を図る暴力団特有の方法」だとして無期懲役を求刑していた。
判決で神戸地裁は、組織的犯行について明確に認定しなかったものの、「組織への忠誠心からの報復であり、至近距離から自動小銃で襲撃し、横たわる被害者を目がけてさらに撃ち込むなど強固な殺意に基づく犯行態様は残虐性極まりない」と指摘、「覚せい剤事件で起訴され保釈中の身でありながら殺人事件を起こしており、有期懲役を選択する余地はない」として、求刑通り無期懲役を言い渡した。