劇作家・演出家の平田オリザさんがパーソナリティーを務めるラジオ番組『平田オリザの舞台は但馬』(ラジオ関西)に、歌手の森佑理さんが登場。但馬の思い出やこれまでの歌手活動について語った。
父親が香住町(現、香美町)出身の、森さん。「小さい頃、父によくクルマで、きょうだい3人とともに、大阪から竹野浜に連れて行ってもらった。スイカ割りをするのが楽しみで」と当時を振り返った。
この話を受けて、平田さんは「今、竹野は若い方に人気。城崎(国際)アートセンターに滞在する海外アーティストからも人気が高い。あと、シーカヤックですね。また、香住高校の海洋科学科も優秀で、最先端の科学技術を扱う学科。竹野は刷新されていますよ」と、変わりつつある竹野の魅力を述べた。
NHK教育テレビ(現、Eテレ)『ゆかいなコンサート』の「うたのお姉さん」を経て、現在はゴスペル歌手として活躍する、森さん。東京で19年過ごしたが、現在は地元・大阪を拠点に活動している。「ある日、ブラジルで1か月間コンサートがあって。そのとき、ふと『私、なぜ東京にいるんだろう』と思ってしまって……」。
これには平田さんも「東京は消費の場であっても生産の場として優れているとはいえない。青年団(平田さんが主宰する劇団)も、工場移転だという言い方をしている。良い稽古をしても、往復の満員電車で集中が途切れてしまう。問題は地方がその受け皿を作れるかどうか」と、自らの体験も踏まえながら、東京から地方へ移住する意義についてコメントした。
最近の森さんの悩みは、感染症対策下での公演活動だ。「先日、ニューイヤーコンサートを行ったのですが、悲しい気持ちになってしまって。というのも、マスクがあると、観客の息遣いが全く感じられない。壁があるような感じで」とアーティストとしての心情を吐露。
平田さんは「間接的に聞いた話ですが、藤山直美さんは若手に『ここでセリフ言ったらあかんのや。お客様が息を吸っているところだから』と指導されたそうです。超一流になるとそこまでわかる。でも、マスクじゃわからない。あと、非常事態宣言で客席も5割に戻った。すると『笑い』が伝わっていかないんですよね。お隣がいないと本当に不思議なもので」と、コロナ禍でのライブの難しさを痛感。「だからこそ観客とともに創っていく『生』の空間にこだわりたい」と述べ、“劇場のチカラ”を再確認した。
※森佑理さんがパーソナリティーを務める番組、ラジオ関西『モリユリのこころのメロディ』は、毎週木曜、午後9時30分から放送中(30分番組)。
※『ラジコ』では放送後1週間はタイムフリーでの聴取が可能。番組では、平田オリザさんが、ともにパーソナリティーを務める田名部真理さんと、これまでの自身の話しや演劇界への思い、移住拠点となっている兵庫・豊岡、但馬地域について、トークを進めていく。
『平田オリザの舞台は但馬』
放送日時:毎週木曜日 13:00~13:25
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:平田オリザ、田名部真理
メール:oriza@jocr.jp