今期限りで退任する井戸敏三知事(75)の任期満了に伴い、7月18日に投開票される兵庫県知事選挙で、前・大阪府財政課長の斎藤元彦氏(43)が31日、兵庫県庁で記者会見を開き、立候補を正式に表明した。斎藤氏は「兵庫県知事としての仕事は私の天命」と意気込みを述べた。
神戸市須磨区出身。2002年に東京大学を卒業後、総務省に入省、2018年から大阪府に出向していた斎藤氏は、「決意を固めさせていただいた。いずれ故郷の兵庫に戻りたい」と29日付で大阪府を退職。30日には出向元である総務省に退職願を提出、受理された。
斉藤氏は会見で、新型コロナウイルスから県民の命とくらしを守る・「ひょうご五国」の魅力を磨き、兵庫の再生と成長を目指す・コロナ前よりも良い社会を作る「コロナからの創造的復興」という3つのビジョンを挙げた。
斎藤氏はこのほか、2025年の大阪・関西万博を踏まえ「これからは関西の時代が来る。関西の魅力を世界に発信する絶好の機会。兵庫県が元気になり、大阪府との連携を強めることで関西をけん引したい」と述べ、人口流出が全国的に著しいとされる兵庫県について、地域の魅力や特性を活かせていない点など、取り組みべき課題も多く、コロナ禍で経済が傾いた分、不安が増大する雇用対策なども進めたいと述べた。
また、全国的に見て慢性的な財政難となっている中、さまざまな事業での既得権やしがらみからの脱却、知事の退職金カット、知事の公用車である「センチュリー」の廃止などを挙げ、大阪府財政課長の経験から「慎重に検証しながら行財政改革を進めたい」と決意を語った。
斎藤氏は、兵庫県議会の最大会派である「自民党県議団」を離脱した11人の県議会議員、それに党代表の松井一郎大阪市長(57)らが「政策が一致すれば支援する」との方針を示す日本維新の会が支援する見通しだが、斎藤氏は維新サイドとの政策協定の具体的内容については、今後詰めたいとしている。
井戸知事の事実上の後継とされている、前・兵庫県副知事の金沢和夫氏(64)はすでに出馬会見を済ませており、「人は生まれてくる場所を選べないが、骨をうずめる場所は自分で選ぶことができる。私はその場所として兵庫を選んだ」などと述べた。兵庫県知事選には、元・加西市長の中川暢三(ちょうぞう)氏(65)が出馬の意向を表明しているほか、共産系の市民団体も独自候補の擁立を目指している。