音声メディアのラジオで、音の調整は欠かせないものだ。今回、普段はラジオの裏方を務める技術スタッフが、音の調整を現場でどのように行っているか、基礎知識を含めてラジオ番組のなかで解説しました。
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音の強さを表す単位は「dB(デシベル)」です。1dB、2dBと、数字が大きくなるほど大きな音に感じます。音響エンジニアやレコーディングエンジニア、ミュージシャンなど、音楽の仕事をしている人はデシベルを略して「デシ」と言ったりするので、現場では「3デシ上げて」というような会話が聞こえます。
「d(デシ)」は10分の1を示す桁数を表す単位。 「B(ベル)」はスコットランド生まれの科学者で、世界初の実用的な電話の発明で知られる、アレクサンダー・グラハム・ベルにちなんでつけられた単位です。これを組み合わせて「dB」です。
「スタジオミキサー」と呼ばれる業務では、ミキサー卓のフェーダーを操作して音量調節を行い、出演者の声の大小やCDの音量などのバランスを調整します。ミキサーには「ツマミ」と呼ばれる回転式の“ロータリーフェーダー”と、スライド式の“リニアフェーダー”がついています。コンパクトなミキサーでは「ツマミ」だけのものもあります。
ミキサーの下、手元に近い部分にある、スライド式のフェーダーには、dBのメモリ表示がついています。多くのものが8割ぐらいの部分、つまり中間よりちょっと上の0もしくはUと表記された部分までフェーダーを持ってきた状態で、最適な出力になるように調整します。Uは等倍という意味の、ユニティゲインのUです。
ラジオ関西(神戸市中央区)のオンエアスタジオのミキサーを見てみると、フェーダーは一番上まで上げた、つまり天突きの状態が0dBになっています。CDなどの音に大小があるメディアと違って、ラジオは常に最適な音量であることが求められます。フェーダーは0dB(音の減衰も増幅もしない状態)で使用する状態が理想的なため、カフを上げればマイクは最適な音量になっているように、天付きが0dBになるようキャリブレーション(調整)しています。
サウンドエンジニアの感覚をそのまま表現するツール、ミキサー卓。ラジオ局のミキサーフェーダーには“ラジオ”ならではのちょっとした個性があるのです。
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