「酒粕は冬だけではなく、夏でもあります!! 日本酒が作られるのは冬が多いので、酒粕は冬しかないイメージですが、夏こそ体力づくりにぜひ酒粕を毎日の食卓で取り入れてほしい」。そう語るのは、酒米・山田錦の名産地、兵庫県加東市で酒造会社を営む、山田酒造食品株式会社の代表取締役社長、山田文彦さんだ。
山田酒造食品は1897(明治30)年に起業した山田商店が前身。1966(昭和41)年、現在の名称に改めた同社は、124年、約1世紀あまりにわたって、酒類・発酵食品の加工製造を行っている。現在は酒粕や甘酒の加工を中心に、本みりんや漬物も製造。体にやさしく、おいしい発酵食品を提供している。
そのなかで、発酵食品の1つ、“飲む点滴”といわれる甘酒を「日常生活で気軽に取り入れてほしい」と開発されたのが、酒粕と米こうじで造られた「フルーツ甘酒」だ。
同社の甘酒「たきのいずみ あまざけ」から生まれた新シリーズは、リンゴやパイン、赤メロンやピーチといったフルーツ味により、子どもから高齢者まで幅広く飲むことができるだけでなく、甘酒が苦手でも「抵抗なく飲んでもらえるよう、のどごしスッキリな甘酒」(山田社長)に仕上げられた。今年には、甘酸っぱい「ブルーベリー」、華やぐ香りの「さくらんぼ」、甘く香ばしい「キャラメル」の3種類も登場。プレーン味を含めて、現在は8種類に拡大している。なお、キャラメル味は、同社が今後シリーズ化予定の「スイーツ甘酒セレクション」第1弾でもある。「フルーツ甘酒」は200㎖の飲みきりサイズで、パッケージも子どもや女性向けのデザインにこだわった。「冷やしてもおいしく飲める」甘酒で、これからの夏にかけても注目の商品だ。
さらに同社は、「子どもたちにも酒粕に親しみを持ってほしい」という思いから、今年、地元の兵庫県立社高校生活科学科の生徒と、コラボ食品も開発中。コロナ禍により健康志向がさらに増すなか、「今後も新製品の開発に力を注ぎながら、より良い伝統発酵食品を全国に広めていきたい。酒粕・米こうじを使った甘酒で健康を届けるべく、多くの方に取り入れてもらえるようになればうれしい」と山田社長は熱い思いを語った。(嵐みずえ)