画家・芸術家の「たやあさこ」の個展、「たや あさこ Solo Exhibition ~ Parallel World Selection ~」が、神戸・北野坂にあるGallery Bricolage(「ギャラリー ブリコラージュ」/神戸市中央区)で開催されている。7月19日(月)まで。
今回の個展のコンセプトである~Parallel World Series~は、たや自身が2005年から本格的に油絵を始めた頃より、主に、命や生命を感じる物、事、場所、時、そして感覚をテーマとして作品制作を行っているもの。このテーマを探求し「本来は誰もが自己の望む世界を自由に創造して生きることができるのではないか」という思考にたどり着いたとのこと。
「在る様で、何も無い様なこの不確かな現実とは、自己の心の投影なのではないだろうか……」と語りかけてくる作品は、じっと見つめていると絵画が動き出すような感覚を抱かせる。
「本来はすべての出来事に意味はなく、ある出来事を受け取った自己がその受け取った出来事に勝手な意味付けと評価をし、その蓄積量により自己の心に相応しいパラレルワールド(平行同時世界)を選び取って生きているのではないか……」。このような思考により2011年から「parallel world シリーズ」を開始。未来への希望と自由への喜び、そして、無限に存在する『今』に感謝を込めて制作している。
また2013年から「parallel world」を創造するための種として、油絵を描いているときに「心の高揚感・魂の喜びを感じる」と語る製作の専攻をしたきっかけでもある作者が、敢えて「新境地」である水彩にも拡大した。
「自己が目指す世界を創造するために広く多様に幸せの種をまくことが自己の心をより良く発展させるのではないか」という思考から「happy seed(幸せの種)水彩シリーズ」を開始。自己が目指す世界を創造するために、広く多様に幸せの種をまくことが、自己の心をより良く発展させるのではないかと語る。
作者は子どものころから普段感じていた不思議な体験の数々、なかでも1995年の阪神・淡路大震災のときに体験した命拾いの経験が大きな影響を及ぼしているという。
「この作品が人々にとって自己の幸せや心の在り方について考えるきっかけになること、またその考えが自由に発芽していくこと、そしてこの作品自体が幸せを運ぶことを願って制作している」とマスク越しの真剣な眼差しの中に優しい笑顔でインタビューに答えた。
◆「たや あさこ Solo Exhibition ~ Parallel World Selection ~」
開催日時 2021年7月13日(火)~7月19日(月)
会場 Gallery Bricolage(「ギャラリー ブリコラージュ」/神戸市中央区山本通2丁目14-22 プレジデントコート3F)
【Gallery Bricolage 公式HP】
◆たやあさこ(本名:多養麻子)
1986年8月26日、神戸市生まれ、宝塚市育ち。3歳からピアノを習い始め、ジャズピアニストを目指す。剣道の試合中の事故で左手首に大ケガを負い、1年以上左手が動かずピアノの道を断念。その後、油彩と出会い、17歳から本格的に絵を習い始める。
雲雀丘学園高校卒業後、2005年宝塚造形芸術大学・造形学部美術学科に入学。世界4大アーティストと称され、同大学で主任教授を務めていた故・嶋本昭三さんに誘われ、イタリアヴェネツィアビエンナーレの嶋本ブース内展示や、ナポリでのパフォーマンスアートに参加。2006年、約1か月のイタリア遊学で多くの刺激を受ける。
2007年新制作展に初出品初入選し、画壇デビューを果たす。2009年関西新作家賞受賞。大学卒業制作展では最優秀作品賞を受賞し首席で卒業。かねてから興味のあった舞台美術を学ぶため、株式会社宝塚舞台に2009年新卒入社。宝塚歌劇専属背景師として勤務ののち、2012年に独立。開設していた自身のアトリエ「atelier A」を制作拠点とする。
『office & atelier Asako TAYA』を設立後、2013年に初個展。ニューヨークや上海など海外のギャラリーでの企画展示やアートフェアにも参加し、活動の幅を広げるも、2014年に大雨水害によりアトリエが被災。
すべてが使用できない絶望的な状態に陥るが、多くの人々に助けられ再起。2016年から事務所兼アトリエを神戸市中央区に移転。屋号を『多養丸商事』(たやまるしょうじ)に改名、現在に至る。
受賞歴は2008年第10回雪梁舎フィレンツェ賞展佳作賞、VA5つのコンクール審査員特別賞、第5回命のかたち展優秀賞、2009年春の造形展卒業制作最優秀賞、第62回関西新制作展関西新作家賞、2010年第3回ビエンナーレうしく最終賞候補、2012年EMP GALLERY Art fair Contest特別賞など。輝かしい経歴を持つ、今、注目のコンテンポラリーアーティストだ。
【たやあさこ 公式HP】